Tiger x Lotus parallel | ナノ


唇を重ねながら、緩やかに律動を開始し、やっぱり少し萎えてしまった蓮のものを手で軽く扱いた。気持ち悪い気持ちいいなんて関係なく、反動で漏れてしまっているであろう蓮の声が、脳に響く。
前立腺を擦り上げ、突けば、その声はさらに大きくなる。


「あ、んっん…や、ぁ…」

やばい、このまま死んでもいい。
見えるもの、聞こえるもの、感じるもの、全てこのままに。

動かす腰が、止められない。


「と、ら…」

動きに合わせて息を詰める蓮が、絞り出したような声で呟いたのは…

「きもち、い?」

俺の様子を伺う余裕があるのかと、少しだけ悔しくなったが、その言葉に体は素直に反応してしまっていた。蓮の中でさらに大きくなってしまい、もちろんそれは彼にもばれていて。

「ああ、このまま、死んでもいいくらい」

「ぅ、あ…虎また、お……き、く」

「頼むから。あんまり、煽るな」

そこからはもう、よく覚えていない。
蓮の表情や声、繋がれた感覚はよく覚えているのに、自分が囁いた言葉やどんな顔をしていたのかは全然覚えていないのだ。夢中でセックスをするなんて、ヤりたい盛りの馬鹿だと思っていたのに。
今までの何十回何百回のセックスなんて無意味だったと、あれは一体何だったのかと、この行為を終えてから思うんだろう。それほど、今のこの一回の、意味が大きくて確かだから。


「ん、んっ…だめ、も…い」

絶頂がすぐそこまできているのか、蓮は背中を反らして、もう声にもなっていない喘ぎを喉からヒューヒューと漏らした。

「俺、も…」

「んぁ…や、だあ……ああ、っふ…う……」

ギリギリまで抜き出し、一気にいいところを突き上げれば、蓮は足を震わせて達した。二度目の射精は俺の腹を濡らし、中はびくびくと俺を締め付ける。俺もその反動で果て、まだ軽く痙攣する蓮を強く抱き締めた。

互いの汗は気持ち悪いと感じるより先にずるりと肌を滑らせ、何とも言えない僅かな刺激を与えた。敏感になっている所為で、それにさえ腰が疼く。

「はぁ、はぁ…」

「大丈夫か…?」

「ん…平気」

背中に食い込んでいた彼の指が、するりと離れ、俺の頬に触れた。眼前にあるその顔。頬には涙のあとが残っていて、堪らなくなってそこに唇を押し当てた。

「どうしよう…」

「…なに?」

「なんだか…」


“胸が苦しい”


蓮はそう呟いて微笑んだ。
偽りのない笑みだ。

「俺も」

幸せすぎて、苦しかったんだ。


「……離れ、られないよ」

「ああ、俺も」

首筋に顔を埋められ、熱い息がいつも血を吸う場所にかかる。

「……喰う?」

「…食べたい 、でも、まだ…もう少しこのままで」

繋がったまま、俺達は何時間も抱き合った。
何を喋るでも、動くでもなく、ただ抱き締めていた。



俺はその時、手にしてしまったものの大きさを、やっと実感した。

冗談でもハッタリでもなかったが、本当に殺されてもいいと思った。離れるくらいなら、手放さなければいけないなら、いっそ…




氷の溶けたコーヒー。濡れたカップはテーブルに水溜まりを作って、くっきりと二つの痕を残した。似ていた。俺の首に残る、血の出た後に。


-after story -



/ fin



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