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▽ 黒尾ss


部活が終わったあとみんなでハロウィンパーティをしようという話になったのはつい先日。幼馴染コンビはなんで全員仮装しなきゃならないんだとか日本人は仏教だから関係ないとかブツブツ言っていたけど私が無理やり押し切って参加を約束させた。そのうちの1人私の彼氏でもある鉄朗はおそらく今用意した猫耳をつけている、はず。私が部室を借りて着替えをさせてもらってみんなは空き教室で準備を進める計画なのだ。着替えが終わったとき、ドアをたたく音がした。

「まだ着替えてんの?準備もうできるぞ。」
「鉄朗?入っていいよ!」

お邪魔しますと入ってきた鉄朗は私が小悪魔の衣装を着ているのに反して赤いジャージのままで仮装感ゼロだった。

「せめて耳だけでも付けてって言ったのに〜!」
「持ってるって。始まるときに付けるから。小悪魔さんは気合い十分だな?」
「ふふふ、似合う?」

ひらりと回ってみせたら鉄朗似合ってるよと入り口から中に入って私に近づいてくる。

「あ、待って!トリックオアトリート!」
「…。」
「あれダメだった?」

両手を広げた私を見て渋い顔をした鉄朗はさらに一歩進み目の前までやってくる。そして腰に回った腕がぐいと私を引き寄せた。見上げれば口角を上げてものすごく意地悪な顔で笑う鉄朗と目があって、こういうときは嫌な予感しかしない。

「ちょ、ちょっとここ部室…!」
「俺お菓子もってないからイタズラ希望。」
「…イタズラって希望するものだっけ?てゆか一回離れよっか。」
「やだ。イタズラしてくれなきゃ離れない。」
「それはおかしくない!?」

私が焦っているのを知ってるくせに離れてくれないこの人はよっぽどイタズラ好きの悪魔みたいだと思う。誰かきたらどうするのかと焦ってその胸を両手で押してももちろんビクともしなくてどうにかして抜け出す方法を考える。

「い、イタズラは考えておくから、みんな待ってるしもう行こう…?」
「お前顔赤すぎ。」
「鉄朗のせいでしょ!もう、ほんと離れて…」
「あ、待った俺お菓子持ってたわ。」
「そうなの?んんっ!」

顔を上げた瞬間唇を塞がれてチョコの甘い香りが口いっぱいに広がっていく。そんなの持ってるって言わないよと思いながらも嫌じゃない私はその熱を受け止めるのだった。

ハッピーハロウィン☆






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