響くその音に桜舞う
 


 ――忘れない。


 その約束がどれほど難しくとも、それだけで生きていけるのです。
 同時にそれが果たされないものと知る勇気を、私は持てなかった。
 ならば、真実を知る前に、今日限りの命であれと願います。


 時は平安。
 名前と同じ花が咲き、花弁が舞い散る頃。
 政の中心である大内裏では、藤原氏が権勢を誇っている時代。
 かの一族の姫君は、病身と政略結婚を儚み、この世を去った。

 その姫君が残した、ひとつの和歌の物語。





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