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後日談(「※注意:R18)

夜の太陽の困惑



「と・お・や・さん」
「なぁに?陽太君」
パジャマに着替え、ベットに潜りこもうとする十夜さんを抱き締め、軽くキスした後、頬擦りする。すると、嬉しそうに微笑む十夜さん。可愛いなぁ、もう!
あれから数ヶ月。十夜さんは順調に回復し、店にもフルタイムで働けるようになった。毎日一緒に十夜さんと働けるのは嬉しいし、家から出たので一緒に生活する日々は幸せだが、俺だって健全な思春期な男。正直、キスしかしないで一緒のベットに寝るのは、辛い。
つまり、俺としては早く十夜さんと一つになりたいのは当たり前な訳で…
「シよ?十夜さん」
わざと甘えて囁くと、
「何を?」
きょとん、として十夜さんが俺を見る。正直、可愛い可愛い十夜さんを見れるのは嬉しいが、もう俺、限界。明日は滅多にない休みだし、ついでに俺は準備万端。ローションもコンドームもあるし、俺自身だって臨戦態勢オッケー。早く、一つになりたい。
「ねぇ、十夜さん。エッチしようよ」
年下の特権、甘えながら存分に発揮し、囁くと、
「エッチって、何?陽太君」
真顔で尋ねられた。
……そうだった。十夜さんは俺への愛情とお菓子作り以外の記憶は忘れたんだった。
一気に萎えた。
「……と、いう訳で、十夜さんに性教育を教えてやって下さい。砂條さん」
「なんで、俺が君らの性生活に口を出さないといけないんだよ?」
俺の言葉に、若干キレながら砂條さんはツッコんだ。
いや、その通りなんだけど、ちゃんと事情を知っているのは砂條さんと戒斗さんしかいないから。
「君がやり方教えればいいだろ、陽太君」
「俺に教えろと?!思春期まっただ中の恋人である俺に?!無理です、絶対途中で暴走して襲います!」
「いいじゃん、体で教えてやれよ」
「嫌です!俺はちゃんと心と体を通わせて、愛を育みたい!!」
「…我が儘だな、陽太君」
「なんとでも!俺は十夜さんと、ちゃんと愛し合いたい!!」
もうやけくそなのか、呆れ返りながらそう言う砂條さんに、俺は力説する。そんな俺に砂條さんは溜め息をついた。
今まで、セックス自体はした事ある俺だけど、はっきりいって合意の上の性欲処理だった。
だけど、十夜さんは違う。俺を命懸けで愛してくれているし、俺も十夜さんへの愛は十夜さんに負けないと自負している。それなのに、中途半端な状態でエッチしたくない。いや、セックスやエッチという言葉すら使いたくない。俺としては、気障かもしれないが、愛の営みとか、愛し合う行為として、一つになりたいんだ。
「…ま、オーナーの所に行かれるよりマシか」
「あの人の所に行ったら、十夜さんが汚されますよ」
「…分かってくれて、何よりだ」
「そりゃ、総長とシンさんのいちゃつきを見たいが為にアジトに盗聴器と盗撮器を恐ろしい程、設置した人ですからね」
そう言って、俺と砂條さんは溜め息をついた。事情を知らない十夜さんはきょとん、としている。
以前、十夜さんが目を覚まし、順調に回復しているのを見て安心した俺は、久々にチームのアジトに行った。そしたら、何故か戒斗さんがいて、俺と十夜さんの盗撮した映像を流していた。慌てて砂條さんが戒斗さんを追い出したが、その後、砂條さんが「オーナーが何もしないで帰るなんて、この世が滅びても絶対ないよ」と恐ろしい事を口にし、発見器でおびただしい程の盗聴器と盗撮器を探しだしてくれた。これには、シンさんと総長を始め、チームの奴等が絶句した。あれは軽いホラーだった。
それ以来、砂條さん同様、俺もオーナーを激しく警戒している。
「…まあ、それだけ十夜の事を想ってくれているのは、仲間として、俺も嬉しいよ」
そう言って、砂條さんは溜め息をついた。どうやら、十夜さんに性教育を教えてくれる気になったらしい。なんだかんだ言って、この人はいい人だ。だからこそ、苦労するんだろうけど。この人も、早くいい人見つかるといいなあ…
「じゃ、十夜。これから陽太君と更に愛を深める方法、教えるから」
「え?!そんなのあるの!?」
「あるぞ〜。これで陽太君は更にお前が好きになるからな」
「わわわっ!嬉しいな!!」
「ちょ、ちょっと待った!」
砂條さんの言葉に純粋に喜ぶ十夜さん。しかし、俺はその言葉にストップをかけた。だって今の砂條さんの言い方、なんかオーナーに似ている……
「なんだ、陽太君?」
「えっと…大丈夫ですか、砂條さん」
「何が?」
「男同士のやり方…」
止められて怪訝そうな顔をする砂條さんに、俺はおずおずと尋ねる。今更だが、砂條さんはそういうの、大丈夫だろうか?
そう思って言うと…
「陽太君。君、忘れている…」
「え?何がっすか?」
「俺がグレた時、オーナーにぼこられた後、精神的にいたぶられた方法……」
「あ……」
「俺、あの人のせいで、そっち系のありとあらゆるAV見せられたから、問題ない……」
「……」
遠い目をして、呟く砂條さんに俺は深く同情した。
そうだった…この人、オーナーの一番の被害者だった。オーナーがこの世で一番怖いと公言し、俺のチームでも殺気だったメンバーに平然と対処した人だった…しかも、何気に総長より強かったし。あれは驚いたな。
「安心しろ。俺は男同士できちんと愛し合う方法を教えてやるから」
「え?ガキの作り方は…」
「そんなの、君らに必要ないだろ。どっちにしろ、十夜は君以外愛さないし、子供というものすら分からないからな」
そう言って、砂條さんは少し悲しそうに十夜さんを見た。当の本人である十夜さんは首を傾げている。それに俺も悲しくなる。
そっか…俺への愛情とお菓子作り以外、記憶のない十夜さんはそこまで分からないのか…
「…ちょっと、しんみりしちまったな。さ、始めるか」
「お願いします」
こうして、十夜さんへの性教育…いや、俺と十夜さんの更なる愛し合い方を教えてくれた。
砂條さんの説明は、分かりやすく、男同士のやり方としては至ってノーマルだった。この人、教師になれるんじゃないか?って位、懇切丁寧に教えてくれた。
最初は平然と聞いていた十夜さんだったが、男同士はアナルを使う事を聞くと、さすがに狼狽える。
「え?お尻の穴、使うの?」
「あぁ。だけど、お前は初心者だから、陽太君に任せろ」
「でも、汚いんじゃ…」
「だから、事前に風呂入って、しっかり洗え」
「ローションとかコンドーム、嫌なんだけど…」
「仕方ないだろ?直でやったら、腹下すんだから…」次々と質問する十夜さんに、砂條さんは溜め息をつきながらも答える。それに十夜さんは「うー」とか「あー」とか唸る。
「はい。以上、十夜が陽太君に好きになってもらえる方法でした。あとは、陽太君に教えて貰え」
「…うん、分かった」
ひと通り説明すると、砂條さんは俺達を部屋に帰らせた。ベットに座り込んだ十夜さんは、何やら考えこんでいる。
ま、仕方ないよな…俺への愛情とお菓子作りしかしらない十夜さんにとって、人と愛し合う行為は衝撃的な筈だ。しかも男同士。更には、十夜さんが受け身。しばらく、この話題は止めるかな…?
「…寝よっか!十夜さん」
「陽太君…」
わざと明るい声を出して、掛布団をめくる。そんな俺を、十夜さんは不安そうに見つめる。きっと、砂條さんから教えて貰った愛し合う方法に戸惑っているに違いない。そんな十夜さんに俺は笑いかける。
俺が悪かったんだ。一つにならなくても、俺と十夜さんは、確かに愛し合っている。なのに、何、急いているんだよ、俺は。そのせいで、ただでさえ記憶がなくて知識が乏しい十夜さんを苦しめている。恋人失格、かもしれない。
だから、俺は我慢する。大丈夫。十夜さんの気持ちが追い付いてから、一つになればいい。こんなにも俺は十夜さんを愛しているんだから。
「明日休みだから、どうしようか、十夜さん。ベットで一日中キスして、愛し合おうか?」
「陽太君…」
「それとも、ちょっとだけキッチン借りて、甘いお菓子作って、部屋で食べよっか?」
「…ごめん。しない」
俺の言葉に十夜さんは首を振る。それを聞いて、俺はちょっとショックを受けながらも、黙って十夜さんから離れた。
…仕方ないじゃん。俺が急いだせいで、十夜さんはこんなに困っているんだから。俺の馬鹿。本当、馬鹿。
「…ごめんね、十夜さん。混乱させて…俺、ソファで寝るよ」
「え…?」
「…ちょっと頭、冷やす。困らせて、ごめんね?」
そう言って、ベットから離れようとすると、
「ま、待って!」
慌てて十夜さんが抱きついてきた。それに俺の方が困惑する。
「…十夜さん?」
「陽太君、したくないの?」
「何が?」
「…ぼ、僕と陽太君が愛し合う行為」
「え?」
十夜さんの言葉に驚く。が、そっと十夜さんの肩に手を置いて、おでことおでこを合わせ、十夜さんの夜のように黒い瞳を見詰める。
「…無理しなくても大丈夫だよ、十夜さん。俺、ちゃんと十夜さんが好きだから。しなくても、愛してる」
「ち、違うよ、陽太君…違うの…」
「…十夜さん?」
しないから、俺に嫌われると焦って言ったのかと思ったが、それにしてはなんか様子が変だ。俺はベットに戻り、十夜さんの隣に座る。すると、
「陽太君!」
「と、十夜さん?!」
十夜さんが抱きついてきた。これには、さすがの俺も驚いた。肩に顔を埋め、耳まで真っ赤にしながら、十夜さんは口を開く。
「愛して…」
その一言に驚き、俺は目を見開いた。そんな俺に、十夜さんは畳み掛ける。
「お願い、陽太君…愛して…僕、君に愛されたい…」
その言葉に、俺の中で何かが切れた。可愛くて愛しい人を抱き締め、口づける。深く深く、愛を注ぐ。
「や…だ、め…陽太、くん…」
「煽ったのは、十夜さんですよ」
舌を絡ませ、唾液を送り込んだり、吸ったり、とにかく甘くて深い口付けをすると、十夜さんの瞳が潤んでくる。それにますます煽られ、何度も何度も口づける。
正直、ここまで甘くて深い口付けはした事はない。十夜さんは恋愛未経験者だからだ。だけど、好きな人に可愛くおねだりされたら、答えるのが男だろ?
「は…ふ……ん…ぁ……」
鼻にかかった甘い声。砂糖菓子より甘くて、そそられる。トロン、と惚けた表情の十夜さんを見て、俺は名残惜しいが口を離す。
「…一緒にお風呂、入ろっか」
まるで秘め事のように囁くと、十夜さんは瞳を潤ませながら、俺を見詰め、首を縦に振った。
「陽太君…なんかお尻、変な感じする…」
「我慢して、十夜さん…今、綺麗にしているから」
「うん…ごめんね?我が儘言って」
「いいよ。俺もしたかったし」
そういいながら、俺は十夜さんのアナルの中を綺麗に洗おうと、中に入れた指を動かす。
風呂に入った俺達は、それぞれ体を洗いっこしたが、さすがに十夜さんのアナルは処女なせいか、きつく閉ざされていた。ボディソープを使って洗っているが、やはり初めてなせいか、十夜さんの表情は苦しそうだ。それでも、絶対に「止めて」と言わないのは健気で、愛しい。
なるべく傷をつけないようにアナルを洗うと、シャワーで綺麗に流した。しかし、これも駄目なのか、十夜さんの顔は苦しそうなままだ。キスを沢山して少しでも気を紛らわし、それが終わると体を拭く。
微かな明かりに照らされて浮かび上がる十夜さんの体は、きっと他の人が見たら貧相だろうけど、俺には何よりも尊く美しく見えた。


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