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6

それからは、計画通り先輩の前で少しづつ少しづつ、他の子絡んだりしているのを見せつけた。廊下で歩いているときに前から歩いてくる先輩を見つけると、わざと隣にいるやつの肩に手を回してふざけあったり。図書室の前で告白をされるのを見せつけたり。

その後、俺は先輩をうんとうんと甘やかす。先輩は俺にだいぶ惚れてきているのだろう。思惑通り、悲しそうな顔をすることが増えてきた。その顔を見るたびに俺は優越感で恍惚とする。
先輩は今までの恋人たちのように怒って問い詰めたりすることをしなかった。それをされたらどれほど気持ちいいだろうかと思っていた矢先のことだ。


「…ねえ、池上、くん…」
「うん?なに?」

いつものように、図書室で先輩のいる前で他のやつと話して嫉妬させた後。先輩が、遠慮がちに何か思いつめたような顔をして俺に声をかけてきた。

「…俺達は、付き合ってるん、だよ…ね?」

怯えたような、懇願するような眼差しでそう言われた時。俺は今までで一番興奮した。

「…もちろんだよ。俺から付き合って、って言ったでしょ?ごめんね、俺が他のやつと仲良くしてるからやきもち妬いちゃった?」
「あ、うん、あの…、ちがうよ。池上君は人気者だから、たくさんお友達がいるのは知ってるし。ちょっと、聞きたかっただけ。」

ごめんね、と悲しそうな顔で謝罪する先輩が、ものすごくかわいく見えた。

「…俺が好きなのは先輩だけだよ」

そう言って、付き合って初めてのキスをした。



部屋に戻ってから俺は、初めてした先輩とのキスに酔いしれていた。先輩は初めてだったらしく、離れた後にとても恥ずかしそうに赤い顔を下に向け目を伏せていた。その姿が、すごくすごくかわいくて。
この人の心が自分にのみ向けられていることがすごく快感だった。こんなことは初めてだ。先輩は間違いなく、今までの歴代の恋人たちの中でもナンバーワンに俺の優越感を満たしてくれる。


もっと、もっとだ。


ほんの少しのヤキモチの態度でこんなにも俺を満足させてくれるのだから、もっとひどくやきもちを妬かせたら一体どれほどの快感を得られるのだろうか。


図書室での先輩の一部始終を思い出しながらひどく満たされた気持ちのまま眠りについた。



次の日、俺は久しぶりに友人に会った。涼介というんだが、真面目に一途に恋人に尽くしているそいつに『嫉妬する恋人ってかわいいぜ』と教えてやったんだ。そういえば、それからお互い連絡していなかったっけ。

俺はニヤつきながら涼介に声をかけた。
恋人に嫉妬させたときの感想を聞くためだ。ところが、涼介は俺の顔を悲痛な顔で見たかと思うと胸ぐらをつかんで怒鳴ってきた。

「お前、お前のせいで俺は…!」
「は?なんなんだよ、なにがだよ!」

あまりの形相に驚いて聞き返すと、涼介は胸ぐらをつかんでいた手を力なくだらりと下ろした。

「…池上。これだけは言っとく。恋人に嫉妬なんかさせちゃだめだ。お前に今大事な人がいるなら、わざと嫉妬なんかさせずに大事にしてやれ。」

そう言って泣きそうな顔をする涼介の言葉の意味がわからなかった。

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