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※これはバンビに出てくる綾小路の末っ子、綾小路春乃(あやのこうじ はるの)のお話です。
既存のキャラが出てきますので、初めての方は
突発にある『はるのおはなし』
を先にお読みいただいた方がわかりやすいかと思います。


総愛総受になりますので、苦手な方はご遠慮ください。

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「う…ん、」


秋口に差し掛かった夜。随分涼しくなってきたので僕は部屋のエアコンをつけずに窓を開け放して眠りについた。
綾小路家は警備が万全なので、泥棒なんかの心配はない。
涼しい風に心地よい眠りについていたはずの僕は、急に暑さを感じてゆっくり意識を浮上させた。

「あつ…、…?」


ふと寝返りをうとうとして、体が何かに抑えつけられているかのように自由にならないことに気付く。
僕は何事かと布団をめくり上げ、現れた光景に息をのんだ。



そこには、僕の腰にしがみついているであろう何かがいた。


「…っわあああああ!!」

我に返り、叫び声を上げてしがみついている何かを思い切りけ飛ばす。
それがベッドの下に転げ落ちたと同時に飛び起きて、僕はベッドの横にある棚の中から特殊警棒を取り出した。

つかんだそれを一振りして伸ばし、落ちたものに近づくとそれは頭をさすりながらむくりと起き上がった。

「いたた…、ひどいよ、はーちゃん」

そいつは、泣きそうな顔をして僕を見つめる。ゆるくウエーブのかかった髪、高く通った鼻筋。薄く形の良い唇に、アーモンド形のくっきりとした二重の目。
薄暗がりの中でもはっきりと超のつくほどのイケメンだとわかるその男は、その場でゆっくりと立ち上がった。

「動くな。お前は誰だ。不法侵入者がそれ以上僕に近づくな。すぐに警備を呼んでやるから待ってろ」

特殊警棒をそいつに突き付けながら僕が睨むと、そいつは眉を下げた顔のまま大人しくその場にちょこんと正座した。…なんか、犬みたい。

…ん?犬?

何かを思い出そうとしたその瞬間、ドアの方からバタバタと誰かが駆けてくる音が聞こえた。

「何、何だよ今の声!…って、あー!若葉!てめえ春乃んとこに行くなっつっただろ!」
「ご、ごめん!だって、だって…!」
「だってじゃねえよ!お前が言ったんだろうが、明日春乃をびっくりさせてやるんだって!ったく、堪え性のねえ奴だな!」

ドアを開けて飛び込んできたのは一颯で。
僕は、一颯の言った名前にぴくりと反応した。


「…わかば?お前、若葉なの?」
「はーちゃん!わかってくれた!?うん、おれ、若葉だよ!」


僕が問うと、目の前の男はきらきらと目を輝かせてこくこくと何度も頷いた。

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