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3

涼介は意外に独占欲が強かった。一緒にいるときは俺に友人から電話があるとむっとして
「俺の前で他の男と楽しそうにしないでよ〜」
なんて言われたので涼介といるときは電話もメールもしないようにした。夜に友人たちの部屋に遊びに誘われるのも断ったし、夕飯を必ず一緒に食べたがるのでご飯の誘いも断った。
その代わり、涼介も同じようにしてくれたし共通の友人となら涼介も一緒に遊んだりはしたのでそんなに束縛が窮屈に感じたことはない。
そんな幸せな日々が崩れ去ったのは付き合って3ヶ月ほど経ってからだった。

たまたま委員会で俺が部屋に帰るのが遅くなったときの事だ。部屋の前で、誰かと抱き合う涼介を見た。俺は一瞬何が起きているのか全く分からなくて。少し離れたところで呆然と佇んでいると涼介が俺に気が付いてしまった!みたいな顔をした。慌てて自分が抱きしめている子を離すと、その子も何事かと顔を上げて涼介を見上げ、その視線を追った先にいる俺を見て目を見開いた。

「…なにそれ」
「ち、違うよ、翔!誤解だよ!この子は何でもないんだ!」
「なんでもない奴と抱き合うのかよ!ふざけんな!」

しどろもどろと言い訳をする涼介に怒鳴った俺に驚いて、抱きしめあっていた子は走って逃げて行った。俺はずかずかと涼介に近づき、胸ぐらをつかんでさらに食いつく。

「浮気かよこの野郎!なんでっ…!なんでだよぉ…!」
「翔…!?」
「おっ、俺っ、…、俺が、一番、涼介のこと好きなのにっ…!他の奴なんか抱きしめんなよぉ…!」


涼介を締め上げながら俺の目からはぼろぼろと涙がこぼれた。滅多に泣かない俺の涙に涼介はひどく驚き、それから俺をぎゅっと抱きしめた。

「…ほんとごめん。告白されて断ったら、抱きしめてくれたら諦めるって言われて…。ごめんね。愛してるのは翔だから。」
「…ほん、と…?」
「うん、本当。ね、翔。翔が一番俺を好きでいてくれるんだよね?嬉しい」
「…ん、好き…。一番、好きだから…。もう、するなよ…」

その日、涼介はとても優しく俺を抱き、何度も何度も愛してるを繰り返してくれた。


だけど、その日から。少しづつ、涼介は浮気まがいの事を繰り返すようになった。俺といるときでも誰かと頻繁にメールをし、時にはかかってきた電話を持って部屋にこもって一時間ぐらい出てこない。夕食も友人と食べるなんて言って出て行ったりすることが多くなって、しまいには校内でかわいい子と二人でお昼を食べたりするようになった。

そのたびに俺は涼介に怒り、涼介が『愛してるのはお前だけ』と繰り返す。
それがだんだんとエスカレートして、ついに涼介は部屋にかわいい子を連れ込んでソファで抱き合っていた。

それを初めて発見したときにはもう今までの比じゃないくらい俺は怒った。怒りすぎて泣きながら、『もう別れる』と口にすると涼介はひどく焦り『お願い、もうしないから』とか『告白されて断ったら一度だけ抱いてって言われたから』などと必死に言い訳をしていつものように俺に口づけて『愛してる』を繰り返した。

涼介に心底惚れてしまっている俺はそれでまた涼介を許してしまった。
なんだかんだと言ったって、結局は涼介と離れたくない。離したくないんだ。俺は平凡で、涼介は美形だ。もともと釣り合うはずのない俺たちは付き合ってもらっていること自体が奇跡で。俺は涼介が浮気をするたびに怒るけど、本当はそれで振られてしまったらどうしようと内心いつも怯えているのだ。

涼介も、そんな俺の事をわかっているからこそ堂々と浮気をする。
『愛してる』とさえ言えば何でも許すと気付いているからこそ俺に見せつける様に浮気をするのだ。


浮気を発見するたびにひどく怒る俺だけど、本当はいつも浮気相手にバカにするような目で見られ蔑まれて、涼介が愛しくて憎くて、精神的にギリギリのところまで来ていた。




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