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※浮気×平凡です。
視点が変わります。
苦手な方はご遠慮ください。
攻…羽柴涼介(はしば りょうすけ)
受…中岡翔(なかおか かける)
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まただ。これで何回目だ。
玄関の扉を開けて、俺はわなわなと体を震わせた。原因はただ一つ。リビングにて、大っぴらに可愛い男の子といちゃつくわが同室者にて彼氏でもあるイケメンな男。
「涼介ー!」
「きゃっ、なに!?」
ばーん!とリビングの扉を開けて突入してきた俺に涼介に体を撫でられあんあん啼いてた男が驚いて涼介にしがみつく。
離れろちくしょう!誰の彼氏だと思ってんだ!
「あ〜、おかえり翔」
ちょっとだけ気まずそうに頬をかきながら苦笑いをするバカたれをぎりぎりと睨む。
「ちょっと、涼介、この人誰?」
「ん〜?俺のこいびと?」
なんでそこ疑問文なんだ!
「え?こんな平凡が?嘘でしょ〜」
「平凡で悪かったな!嘘じゃねえよ、わかったらいつまでも薄っぺらい体晒してねえでとっとと帰れ!」
床に落ちていたそいつの物であろう制服を引っ付かんで投げつけてやるとそいつは何さ平凡のくせに!と怒り出した。
「りょおすけぇ〜、この人追い出しちゃってよぅ。涼介だってほんとはこんな人恋人だなんて思ってないんでしょ?さっき疑問系だったじゃん」
鼻にかかった甘ったるい声を出して涼介に甘える可愛い男。涼介はにこりと微笑むとソファから降りて俺に近づき、軽くキスをした。
「この子は俺の本命だから。捨てられたくないから帰ってくれる?ごめんね」
『本命』
例え嘘でもその一言でほっとして許してしまおうなんて思えるあたり俺は大概腐ってる。
男の子が信じられない、と目をぱちくりとさせたかと思うと俺をキッと睨み、乱雑に服を着た後部屋のドアを思い切り閉めて出て行った。
「翔、ごめんね?愛してるのはお前だけだから許して?」
「…早くシャワー浴びてこいよ」
「やだな〜、まだ汗かく前だったから大丈夫だよ。どうせなら翔と汗かいてから一緒にシャワーしたいなあ」
どうやらまた未遂だったらしい。
涼介はこの部屋に可愛い子を連れ込んではいるが俺は幸い(?)真っ最中には遭遇したことはない。大概、涼介が相手の上半身をなで回している所だ。
それを責めると涼介はいつも
『未遂だから』
と言う。俺にしたら未遂も何もいちゃつく直前なら未遂じゃすまねえだろって話だ。だってそうだろ?目の前で未遂だからといって他でそうじゃないなんて保証はない。
それでも、まだガッツリヤってる所を目撃しないだけでどこかほっとしている。
そうしていつも涼介にさらりとかわされ流されてなあなあにしてしまうのだ。
「ね、翔。愛してる。翔は?」
「…愛してなかったら止めになんて入らないし怒らない」
涼介の口づけを受けながら、我ながら不毛だな、と半ば諦めに似た感情で涼介の首に腕を回した。
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