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りくえすとのべるの、『僕のママは保父さん』の洋介と圭介のお話です。ずっと、ずうっと前に『書きます』宣言をしてからようやく書き上げました…。

かなり前なので『いつの話だよ!』と思われるかもですがご容赦ください(>_<)




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「行ってきまーす」
「あ、洋介くん!待って、お弁当忘れてるよ!」

玄関から出て行こうとした俺をぱたぱたと台所から追いかけてきた母さんから、包みを受け取る。

「今日は何時に帰る?ご飯は?」
「今日は定時だから七時には帰るよ。ご飯もちろん食べる食べる!」
「わかった、じゃあ洋介くんの好きなトンカツにするね!」


にっこり笑う母さんに、かわいいなあって胸がきゅんとする。ほんと、もう四十路過ぎてんのにこの人の愛らしさは変わらない。


「レイ、そういうやりとりは旦那様の俺とするもんだ」


のそりと、奥から現れた背の高い男が後ろから母さんを抱きしめてうなじにキスをした。途端に真っ赤になる母さんを抱きしめたまま勝ち誇ったような笑みを見せる、親父。息子に当てつけんなよな、大人気ねえな。

「とっとと仕事に行きやがれ」
「うっせ。レイさん、行ってきます」
「いってらっしゃい、洋介くん。」

にこりと笑って見送ってくれる母さんに手を振り返して扉を閉める。歩き出しながらあのエロおやじ、きっと今頃朝から盛ろうとして怒られてんだろうなと思った。

とはいえ母さん、親父にベタぼれだから扱きあいくらいして抜かせてから行くんだろうけど。

俺の母さん―――中川礼二郎さんは、男だ。

シングルファザーだった親父が俺を預けていた保育園の保父さんだった礼二郎さんは、昔からとても可愛らしくて優しい人だった。当時五歳の俺は、そんな礼二郎さんが初恋。男なんて関係ない、大人になったら絶対この人と結婚するんだって思ってた。
所がなんと、俺のおやじがおれと同じく礼二郎さんに惚れちまいやがった。親子だから好みがにるんだろうな。しかも、礼二郎さんもおやじに惚れてた。

当時ガキんちょだった俺はそんな二人に嫉妬して意地悪したりしたけれど、結局晴れて二人はゴールイン。

正直悔しかったりもしたけれど大好きな礼二郎さんが母さんになって、なんだかんだ俺を大事にしてくれるから万々歳だった。

さっきみたいに、まるで恋人みたいなやりとりもできるし?

…でも、やっぱりずっと目の前に初恋の人がいて、しかもあんなやりとりをしていたら、恋人は作っても、どこかあの人を基準にしてしまう。
この年になるまで家を出るのもせず、誰かにあの人以上の思いを抱くこともない俺はいまだやっぱりあの人が好きなんだろう。

受け取った弁当箱を鞄にしまいながら、今日も真っ直ぐに家に帰ろう、と家で待つあの人の笑顔とご飯を思い浮かべた。

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