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その後はもう回数なんて数えることができないくらい、イってイかせて、どろどろんなって。健吾さんの口から
『これ以上、イかせんな…っ!おかしく、なる…!』
ってのを言わせたときにはものすごい優越感でさらに責め立てて啼かせまくった。朝起きて『腰がいてえ』って拳骨を喰らったけど、それでも抱きつく俺の背中を優しく撫でてくれる健吾さんがものすごくかわいく見えた。
「買いもん行くぞ、ついて来い」
「はあい」
健吾さんは、相変わらず無骨なおっさんだ。俺に一袋だけ持たせて、米袋を余裕で持ち上げてさらに反対の手で牛乳とか重いものの入った袋を軽々持って俺の前を行く健吾さんの後ろ姿は、俺から見ても男らしい。
ちょっと小走りになって健吾さんの隣に並んで、俺より少し低い健吾さんを見下ろしてにこりと笑う。
「なんだ?」
「うん、あのさ。健吾さん、俺のどこがいいのかなあって思って」
俺は健吾さんが好きで好きで、どこが好きでとか言いまくって付き合ってもらった。健吾さんは俺に絆されて付き合ってくれただけなのかもしれないけど、絆されただけにしては健吾さん、よくできた嫁過ぎるから。俺を旦那様と認めてくれたってことは、それだけ惚れてくれる要素があるのかなあって気になったんだ。
「何だそりゃ、んなもん…」
「うん、でもおれ、聞きたい。自信持たせてくれるのも、嫁の役目なんでしょ?ね、お願い。」
怪訝な顔をして俺を見る健吾さんに、健吾さんが言ったことを盾に取ると苦い顔をした。それが、『あ、恥ずかしいんだ』ってわかって可愛いと思った。最近、ちゃんとちょっとしたことで可愛いとこを見つけられるようになったんだよね。今までもきっと俺が見落としていただけで、こんな可愛い要素はたくさんあったんだろうな。俺、今まで損してたなあ。
じっと見つめて歩いていると、観念したかのようにため息をついて口を開いてくれた。
「初めに見た時から、気にはなってたな。なっさけなく眉を下げてる顔見てほっとけなかったんだよ。俺を必死に口説こうとしてる時も、叱られた犬みてぇな顔しててしょうがねえなあってな」
「なにそれ、俺のダメなとこじゃん!」
しゅんとすると、健吾さんがからからと笑って俺の頭をガシガシと撫でた。
「ばあか。そこがな、かわいくて、俺がしっかり面倒見てやりてえって思ったんだよ。」
にっと笑う健吾さんの顔は、ほんのり赤くて、優しさに溢れてた。
俺はたまんなくなって、健吾さんが持つ袋の片方の持ち手を取る。
「おい」
「いいじゃん、半分こ。だって、夫婦だもんね。」
ねえ、健吾さん、待っててね。俺、もっともっと健吾さんに大事にしてもらうのにふさわしい旦那様になるからさ。
甘えさせてくれるのも、支えてくれるのも、健吾さんだから。
どうしてもやっぱり肝っ玉母ちゃんには勝てそうにないからさ、頑張って支えてもらえるにふさわしい男になるよ。
そんで、時々俺にも甘えてほしいな。
いざって時に、頼ってもらえるような、弱音を見せてもらえるような旦那になりたい。
まだまだ一人前になるには時間がかかりそうだけど
「健吾さん、ずっと側で見ててね。」
「あ?当たり前だ。夫婦ってのは一生添い遂げるもんだろうが」
にっと笑うその顔に、答える様に俺も同じ笑みを返した。
end
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