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にゃあ、にゃあぁう、うなぁ…
コウガの甘い甘い鳴き声が部屋中に響き渡る。私は後ろからコウガを突き上げ、耳を舐めたり甘噛みしたりとぶるぶる震えるコウガを執拗に責めたてた。
「やあ、リクト、やだぁ…!」
「嘘を言ってはいけませんよ。ほら、喉をごろごろ鳴らしてるじゃありませんか。」
「ふ…、ん、やぁ、う…、鳴って、ないぃ…!」
くちゅくちゅと細かく出し入れすると、ぐるぐると気持ちよさそうに喉を鳴らしながら必死にそれを否定する。
こんなに喉を鳴らしているのに、強情な子だ。
「…好きです。愛してますよ、コウガ…」
「んにゃ、にゃああぁ…」
甘い声で囁きごろごろと鳴きながら一際奥まで突くと、同じようにごろごろとのどを鳴らしながら大きな泣き声をあげてコウガは私と同時に果てた。
「お、出て行かなかったのか。そっかそっか。」
バイトから帰ってきたご主人様が、クッションの上で寄り添いあう私たちを見て顔を綻ばせた。
「ほら、おみやげだ」
ご主人様はカバンの中から、赤い首輪を取り出した。そして、コウガの首に嵌める。コウガは大人しく首輪をつけてもらい、私の方へ振り返った。
「似合う〜?」
「ええ、とてもよくお似合いですよ。」
二人で顔を見合わせて、にゃおう、と鳴いてお互いごろごろと頭を摺り寄せる。
「ははっ、ほんとにお前らは仲良しだなあ。な、三毛。たまに散歩につれてってやるからな。」
二人の頭をぐりぐりと撫でるご主人様の手に頭を摺り寄せ、ぺろぺろとコウガを毛づくろいする。
「リクトぉ、俺、ミケって名前じゃにゃいのにどしてご主人様はミケって呼ぶの?ご主人様、俺たちの言葉わかんないのかなあ?」
「…コウガ、ご主人様は人間だってわかってますか?」
「わかってるよー!そんで、リクトと俺は猫だもんね。えへへ、リクトと一緒〜♪」
ゴロゴロと私の耳を舐めるかわいい三毛猫に私もお返しとばかりに耳に食いつく。
「にゃあん、リクト、またするの?耳だめだよぅ、きもちくなるよぅ」
「…っ、この、バカ猫っ…!後で覚悟しなさい!」
じゃれあう私たちを、目を細めて微笑むご主人様。当面の悩みは、ご主人様にコウガの名前をどうやって知らせようかということだ。
end
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