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おバカなにゃんこif

※タイトル通り、『もしも』です。

もしも、二人がにゃんこだったら…?

擬人化ならぬ擬猫化!(笑)雄同士の交尾のシーンもあります。
苦手な方はご遠慮ください。
こちらはパラレルなので、本編とは全く違うお話です。
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「にゃあおぉう、にゃああおう」


ああ、うるさい。
季節は春。恋の季節とは言うけれどそこかしこから聞こえてくる仲間たちの求愛の声にうんざりする。


ご主人様に頂いた私専用のお気に入りのクッションの上でちょっとお昼寝、と転がったけれど部屋の中まで聞こえてくる声にいらいらしてちっとも眠れない。
仕方ないのでご自慢の尻尾をはぐはぐ。

「にゃおー」

…ああ、また来ましたか。私は噛んでいた尻尾を離してベランダの方へと顔を向けた。

「にゃあー、リクト。おはよー」

窓の外から私に向かってへらへらと挨拶してくるのはコウガと言う野良猫だ。ある日ご主人様が窓を閉めるのを忘れていて、外の世界を見てみたくてこっそり抜け出したときに出会った。


汚らしいネズミをくわえてこちらをきょとんと見つめたあと、ふらふらと近寄ってきて話しかけてきた。

「見たことないね。新入り君?」
「…みたいなものです、初めまして。」
「にゃははー、律儀なんだぁ。俺はね、コウガっていうんだよ〜。この辺にねぐらがあるの。あんたは?」
「…リクト、です。」

すんすんとにおいをかぐ高雅を怪訝な顔をしてよけながらとりあえず名を名乗る。それにしても、なんて汚い猫なんだ!毛並みはボサボサ、顔も洗ってないだろ!

「いーにおいすんね。リクトもしかして家猫?」
「…そうですよ。」

つん、と胸を張りコウガを見下す。当たり前でしょう。私は最高級のロシアンブルーなんです。あなたのような野良猫とは違うんですよ。

「ふーん。そんな綺麗だとおいかけっことかできなくておもんないね。」
「な…!」

おもしろくない、だって!?

「わ、私だって別にあなたとおいかけっこなんてするつもりはありません!そんなことで自慢の毛並みを汚したくありませんからね!」
「あ、そーなの?残念だにゃあ。俺、リクトとおいかけっこしたかったのにな」

こてん、と首を傾げるコウガの言葉に、ほんの一瞬どきりとした。
私の嫌味に気づいていないのか?

「リクト、鈍くさそうだからすぐ俺捕まえられそうだもんね。にゃは」
「なんですって!?」
「わー、リクトが怒ったー!わーい」
「待ちなさい!」

くるりと体を翻して駆け出すコウガを必死に追いかける。うう、確かに私は家猫なので野良に比べれば運動不足で足が遅いかも。でも、負けてなるものか!

「ぶにゃ!」
「ほら、捕まえた!」

なんとかコウガに追いついた私はばっと飛び掛かりコウガの上にのしかかり押さえつけてやった。

「にゃあ〜、リクト意外に速いねえ〜!」
「わかったなら先ほどの言葉を訂正しなさい!」

下に組み敷いたコウガに優越感を感じながらえへん、と胸を張ると、コウガはへにゃりと笑顔を向けた。

「うん、ごめんねぇ?でも俺、リクトと追いかけっこできて嬉しかったぁ。」

どくん。

ごろごろとのどを鳴らしながらすり、と頭を摺り寄せるコウガに、私は今まで感じたことがないような衝動的な欲望を感じた。

「…っ!」
「あれ?どしたの?」

それを感じると同時に弾かれた様にコウガの上から体をどける。不思議そうにじっと私を見つめるコウガにじりじりと後退し、私はくるりと体を翻してその場から駆け出した。

「あ、リクト、帰るの?また遊ぼうねえ〜。」

にゃあおう、というコウガの間延びした声を聞きながら私は一目散にご主人の待つ我が家へと走った。

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