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8

泣き疲れて眠ったエドをベッドに横たえ、髪をかきあげる。
恐らくエドは先生に強姦されたのだろう。目が覚めたら、すぐにでも病院に連れて行かないと。
エドの頭を優しく撫でながら、野々宮はひどく憤りを感じた。こんなか弱い子を無理やり襲うだなんて。日本の孤児の弟たちとエドを重ね、唇を噛む。
施設には他にもまだ子供たちがいるはずだ。これ以上、エドの様な子を増やすわけにはいかない。野々宮は静かに行動を起こした。

「やあ、おはよう。よく眠れたかい?体は大丈夫?」

翌朝、野々宮はキッチンで朝ごはんの支度をしながら起きだしてきたエドに向かい微笑んだ。エドは野々宮にこくんと小さく頷き返す。食卓にサラダとシリアルを並べ、エドに椅子にエスコートしてやる。エドが座るのを確認してから、野々宮も向かいの席に着いた。

「エド、君をいじめた先生は遠いところに行ったからね。君のいた施設にはもう怖い先生は誰もいないよ。戻ってももう二度と昨日みたいなことは起きない。それで…」
「や、やだ…」

エドはもう施設に帰りたくないと言う。ここに置いてくれないか。何でもするから。家事は一通りできるし、迷惑はかけない。ここにいたい。お願い。
必死に懇願するエドに、野々宮は困惑した。

「いや、それは…。俺、帰ってくるのも遅いし…」

はっきりと断ることができずにしどろもどろと言い訳をする野々宮に、じっと見つめていたエドはやがて諦めたように俯き、立ち上がった。

「…ごめんなさい。ありがとう。…さよなら…」
「!ま、まて!」

俯いて部屋を出て行こうとするエドを、野々宮は思わず引き止めた。このまま帰してはいけない。何故かそう思った。
掴まれた腕を、涙で潤んだ目でエドが見つめる。

「…俺、そんなに構ってやれないよ?帰ってくるのも遅いだろうし、休みもほとんどないし…」
「…いい。ここにいれるなら。あなたといたい。」

潤んだ目で、エドが野々宮をじっと見つめる。

「…俺は真尋だよ。野々宮真尋。」
「マヒロ…?」

エドが野々宮の名を口にして、ぱちくりと目を瞬いた。

「そう。真尋。これから一緒に暮らすんだ、そう呼んで。そのかわり、君がいいという施設が見つかるまでの間だからね。」

エドはそれを聞いて、頬を紅潮させてぱあっと明るく微笑んだ。

「マヒロ、マヒロ…!」

それはそれは嬉しそうに笑いながら、野々宮に抱きつく。
その日から、二人の共同生活が始まった。

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