ふたりのバレンタイン
今日はバレンタイン。
俺は一夜に渡すチョコを作るための材料を買いに、手作りチョココーナーに来ている。
「えっと、製菓用チョコ、製菓用チョコ…と。
あ、あった!」
うわ、さすが当日夕方!あと一つしか残ってない。
急いで手を伸ばすと、隣からも手がのびてきて、チョコを同時に掴んだ。
「あっ…」
「!ごごごめんなさい!俺どうしてもこれほしくて、お願いだから譲ってください!」
慌てて頭をがばっと下げてお願いしてきた人は
「一夜…?」
「えっ?あっ!かかか和ちん!」
わたわたと慌てる。怪しい人みたいだぞ、お前。
「なにしてんの」
「ありゃ〜、見つかっちったよお。折角内緒でチョコ作ろうと思ってたのになぁ。」
「お前料理できないじゃん」
「できないよ!だけど、バレンタインなんだもん!和ちんに、愛の詰まった手作りチョコあげてびっくりさせたかったんだもん!バレちゃったけど…」
がっくりと頭を下げる一夜。なんだかかわいくて、クスクスと笑いがもれちまう。
きっと一生懸命考えてくれたんだろうな。さっきも、譲ってもらおうとあんなに必死だった。
…俺のために。
先ほどのチョコを、買い物かごに入れる。
「じゃあ一緒に作ろう。ふたりでな?」
「!、うん!」
レジをすませ、買い物袋下げて夕焼けの中一夜と手をつないで並んで帰る。
「ホワイトデーはね、マシュマロ作ろうね!」
「もう内緒にしないのか?」
「ん〜、内緒もいいけど、やっぱ和ちんと一緒にが一番いいや。」
クスクス笑いながら一夜に言うと、こっちを見てにっこり笑った。
「俺も」
ふたりで、なかよく。
つないだ手を、きゅっと握りしめた。
ふたりのバレンタイン・end
happy valentine!
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