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いい夫婦の夜伽

今日はいい夫婦の日。いつもいつも俺のためにって一生懸命してくれる大事な大事な嫁さんである健吾さんに、サプライズ。


バイト帰りに、健吾さんの好きなイチゴのタルトを買って、バラの花束用意して。


いたずらを仕掛ける子供みたいにうきうきしながら家に帰って扉を開けた。

「おかえり、海せ…」
「ただいま、奥さん!」

いつもの通り玄関までお出迎えに来てくれた健吾さんに、片膝ついて外人のプロポーズみたいにして大きな花束とケーキの箱を差し出す。
案の定健吾さんは鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔をしてあんぐりと口を開けた。
やったね、大成功?
健吾さんはそんな顔のままそっと花束とケーキを受け取り、無言で部屋の中へ入っていく。あれ?どうしよう、なんかまずかったかな?

とりあえず後をついて部屋に入り、俺に背中を向けて花束とケーキの箱をちゃぶ台に置いた健吾さんの後ろに恐る恐る立つ。

「あの…、健吾さ…わっ!」

おずおずと声をかけると、健吾さんは急に俺の方へ向いてがばりと抱きついてきた。勢いがありすぎて、健吾さんに力でかなわない俺はそのまま床に倒れてしまった。ちょっと頭と腰打ったよ、いてて。

「海星…」

名前を呼ばれて、少し顔を起きあがらせて胸元を見ると、健吾さんが俺の胸に顔を埋めてふるふると震えてた。うわ、もしかして泣いてる?

うわ、どうしよう。さっきの声もすっげあまかったし、もしかして喜んでくれてる?そんで泣いちゃってるとかだったらどうしよう。俺、嬉しすぎて死ぬかも。
そのままゆっくり顔上げる健吾さんに、その表情を期待してドキドキする。きっとうるうるしてきゅんとして溶けちゃったようなかわいらしい顔して健吾さん俺を見るんだろうなって思ってにやけた俺の顔は、一瞬にして凍りついた。


「海星ぇ…!」
「ぎゃ―――――――!?」


思わず叫び声をあげましたとも。なんでかって?だって健吾さん、めっちゃギラギラして血走った目を俺に向けてるんだもの!!

「けけけ健吾さん?」

焦って健吾さんの下から逃れようともがく俺のズボンと下着を、健吾さんはすばらしい早業でスッポンと脱がし、自分も真っ裸になった。なに、何事!?

「ちょ、健吾さ…!」
「つべこべ言わずにとっととてめえのチンコ喰わせろやコラア!!」
「あ―――――――!」



…そこには、魔王がおりました。



しくしく、しくしく。さめざめとベッドに突っ伏して泣く俺の横で、つやっつやの肌をした健吾さんがひじょーにすっきりしたお顔で煙草をふかしておられます。

昨日のアレは、すごかった。もう、その一言でしか現せられないほどすごかった。えっちで、『もう許して』って泣いたのなんて初めてじゃないだろうか。それくらい、俺の上で腰を振りたくる健吾さんは壮絶にいやらしかった。エロキングの称号を与えたくなるくらい。押し倒した俺のチンコを文字通り貪り喰った。

挿れる側なのに、ギブアップして泣いちゃったことが情けなくて、悲しくて涙が出た。
受け入れる側で、俺なんかよりも数倍体がきついはずなのに全然平然としてる健吾さんにも申し訳なくてまたじわりと涙が浮かぶ。

でも、そんな俺の頭をガシガシと乱暴に撫でてベッドから起き上がり、いそいそと花束を花瓶に移す健吾さんの顔がものすごく嬉しそうに微笑んでいて、あれってやっぱり照れ隠しというか、嬉しくてそういう行動に出てくれたんだろうなあって思うと俺のほっぺもにへへって緩んだ。


とりあえず、いい夫婦の日。ちょっとはいい旦那様に近づけたかなあ?なあんて聞く代わりに、ベッドにお水を持って戻って来てくれた健吾さんを両手で引き寄せてキスをした。


end

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