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一つ前のお話の、受け君視点のその後のお話になります。

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僕は四谷咲夜。都内の高校に通う三年生だ。僕はいわゆる毒親という両親のもとで生まれ育った。物心ついた時には、妹ばかりをかわいがる両親に邪険に扱われていた。両親は元々女の子が欲しかったらしく、生まれた僕を見てひどく落胆したらしい。その後に生まれた妹は平凡な僕とは違い生まれた時から人形のようにかわいらしく、両親はそんな妹の事を目に入れても痛くないほどのかわいがりようだった。
妹が生まれた日から、僕の役目は妹の奴隷だった。誕生日も、クリスマスも、子供の日もお正月も全部全部妹だけ。僕には必要最低限のものしか与えられず、家族で遊びに行くというときも僕は留守番で妹と両親だけでいつも出掛けていた。泣いて訴えたこともあったけれど、その度に『お前はお兄ちゃんなんだから妹のために我慢すべき』と教え込まれ、いつしか僕はそれが当たり前になっていた。
高校だって、本当は希望するところに行きたかったけれど妹と家族のために家事全てとバイトをしてお金を入れなければいけない僕は自宅から一番近い高校に通う事しか許されなかった。高校まで行かせてくれたのは、最低限高卒でないと給料のいいところには就職できないだろうからという理由だった。バイトしても自分の学用品を買う以外のお金は全て取り上げられて、自宅では家政婦のように働かされ、僕はきっと一生このまま家族のために生きていくんだと思っていた。

そんな僕を救い出してくれたのは、同じ高校に通う一つ下の春野うららくんだった。出会いはとんでもないもので、ある春の日に桜並木の下で突然プロポーズされたんだ。初めは何を言っているのか全く分からなくてびっくりした。とりあえず一緒に近くの喫茶店に入って話を聞くと、僕の事を運命の人だと言った。思わず飲んでいたお茶を噴出した。だって、まさか同じ男の子にそんな告白をされるだなんて思わなかったす、なによりうらら君はものすごくイケメンだったんだ。僕はどこかに仲間がいて、僕をからかって遊んでいるのかと思ってたけどそうじゃなかった。うらら君は本気で僕の事を口説いてきたんだ。男同士なのに、ということよりもどうして僕を、という気持ちの方が強かった。だって、僕はお世辞にもきれいな顔なんてしていないし取り立てて目立つ何かがあるような人間でもなくどちらかというと人に埋もれてしまうような平凡な男だったから。
でも、普段から自分の気持ちをはっきり言えない僕はしどろもどろになってどういえばいいのかわからなかった。それで、うらら君に押される形でお試しでお付き合いをするような形になったんだ。

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