4
「まじで勘弁してくれ…」
あれから1ヶ月。俺は心身ともに疲れ果てていた。
朝、寮部屋から出るとちんこを出して
「踏んでくれ!」
と正座する変態がいたり。(あまりに驚いて鞄を投げたら、ちょうどそれが奴のちんこに当たった。カバンは捨てた。)
体育をした後、おれの体操服を掴んで逃げたり。(翌日には新品が返ってきた。何に使ったかは想像したくない。)
とにかく、付きまとわれて散々変態を目にしているのである。
「あ…」
放課後、図書室に調べものをしに行くとあの変態が本を読んでいた。
思わず引き返そうとしたのだが、こちらに気付いたのに変態はにこりと微笑んだだけだった。
いつもなら『ご主人様ー!』とか叫んで走ってくるのに。
不思議に思って会釈すると、軽く手招きされる。なんとなく、警戒心が薄れて近くにいく。
「調べものかい?よかったらこちらに座らないか」
普通に、接する。
「はあ…」
思わず間抜けな返事をして、隣に腰掛けた。
変態は、黙って本を読んでいる。その横顔は、まるで彫刻のようだ。
…滝川先輩、だっけ。こうしてればすごくイケメンなのに。なんであんな変態なんだ。
…つか、なんで今日は変態じゃないんだ。何だかもやもやする。
「どうしたの?わからないところでもある?教えたげようか」
「や、その…。なんで、いつもみたいにしないのかなって」
ちがうちがう!これじゃ俺がしてほしいみたいじゃないか!
「ふふ、ここは図書室だからね。君は何か調べにきたんだろう?さすがに俺もその辺の常識は弁えてるよ。今まで結構なこと君にしてきたけど、本当に邪魔になるようなことはしてないだろう?」
そういえばそうかも。四六時中付きまとわれてはいるけど、担任の用事をしてるときとか何か大事な時には来なかった。
「俺は優秀な犬だからね。ご主人様の迷惑になるようなことはしないさ」
変態行為が迷惑なんですが!
とは言わなかったけど。
静かに、課題を始める横で、ページをめくる音がなる。
すごく、なんて言うか、安心する。居心地がいい空間だ。滝川先輩の横顔に、何だか暖かい気持ちになって。
…こんな時間がずっと続けばいいのに。確かにそう思った。
しばらくして、終わった課題を片付けて立ち上がる。
「あの、俺トイレ行ってきます。」
声をかけ、図書室を出る。結構暗い、もう誰も残っていなさそうだ。
トイレに入り、ファスナーを開けると突然後ろから抱きつかれ、個室に閉じ込められた。
[ 76/459 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
top