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10

「でも、お前は意地っ張りだから。俺が念書を見つけたことを言っても、どんなに大事か訴えても聞き入れないだろうから。
だから、お前が俺に提案したセフレに乗った。わざと、好きじゃない、体だけだって言った。
お前を手に入れるために俺は自分の感情を一切出さなかった。そうじゃないと、お前はきっと俺の前から消えただろう?」


…誠二の言うとおりだ。あの時、多分どんな甘言を囁かれても俺は受け入れなかっただろう。
セフレの時だって、少しでも俺への愛を感じたら、俺は誠二の前から消えただろう。



「この一年の間、大人しくしてたわけじゃない。親に内緒で俺は会社を立ち上げた。
俺は一年で必死に会社を軌道に乗せて、親の会社を傘下にしたんだ。絶対に文句を言えないように、口出しなんてさせない状況を作り上げたんだよ。
だから、お前を迎えにきた。」
「せ、いじ…」
「…さっきあんな言い方したのは、ちょっとだけ一年前の仕返し。
でも、あれぐらいしないと、お前絶対に自分の気持ちを言わないってわかってたから。俺は絶対お前を攫うつもりだったけど、やっぱりお前の口から本音を聞きたかった。」


ぼろぼろと涙を流す俺を優しく撫でながら、そっとリングを掴み俺の左手を取る。


「辛かったろ。苦しかったろ。ごめん、ごめんな光彦。
ほんとにお前は、一途で健気で。…愛してるから、結婚してほしい。
一生、俺が守るから。今度こそ、受け入れて。」


言いながら、俺の薬指に、そっとリングをはめた。


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