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5

聡side


「おはよう、聡」
「おっ、郁斗!おはよう!」



挨拶をする郁斗の笑顔を見て、きゅんとする。
ああ、かわいいな。

郁斗は、1ヶ月前に転校してきた。あまりにもキレイな郁斗に思わず見とれたっけ。
席が隣だったから、あっという間に仲良くなって。日に日に、郁斗を見てなんだかくすぐったい気持ちになった。
それで、ああ、もしかして俺、郁斗のこと好きなのかもって。

昨日、俺は高校に入ってからできた一番の親友の、透に相談した。
透はすごく優しくて誠実で、絶対に偏見なんて持たないって確信してたから。


そしたら透は、

「好きになったなら仕方ないんじゃないかな」

って言った。それから、俺へのアドバイスもしてくれた。
その内容は、郁斗の気持ちを考えたもので、本当に透って優しいよなって改めて見直した。


だから俺は、頑張って郁斗に焦らず俺の気持ちを知ってもらおうと、朝から気合いを入れていた。


「なあ、坂上。ちょっと。」


教室に郁斗と入ると、クラスの奴が俺だけ手招きして呼んだ。


「あのさ、お前品川と仲良かったよな。」
「ああ。なんで?」
「…昨日俺、夜に繁華街で遊んでたんだけど、品川見かけたんだよ。
あいつ、ホストみたいなやつに肩抱かれてホテル街に消えてったんだ。俺、追いかけたんだけど見失っちまって…
あいつ、学校来てないだろ?心配になって。
お前、仲いいだろ?あいつ、大丈夫だったんかな?」



クラスの奴の言葉に、真っ白になる。

透が?うそだろ?

「聡、どうしたの?顔真っ青だよ、大丈夫?」


郁斗の心配そうな声も、耳に入らない。

「ごめん、郁斗。俺、ちょっと帰るわ。」


郁斗の返事を聞かずに、教室を飛び出した。


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