×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -




11

「さて、僕も部屋に帰るとするよ。きっとうるさいのが待ってるだろうからね。」
「くく、知ってたのか。早く行ってやれよ、狂犬になる前にな」
「お前のせいでしょ?ちゃんとこの償いはしてもらうから。
…哲平のこともちゃんとしてよ。オウジサマなんでしょ?」



良平は肩をすくめ、出て行った。
教室には、ぼくと王子様ふたりきり。
ぼくは、王子様に抱きつき、すんすんと泣きながら顔をあげた。


「お、王子様、助けに来てくれた…。また、助けてくれた。ありがとう。ありがとう、おうじさま。」


ぽろぽろと涙をこぼしながらお礼を言うと、初めて会ったときのように王子様はぼくの涙を親ゆびで拭って、にこりと微笑んだ。

「当然だよ。お姫様を助けるのは、王子様の役目だろう?哲平は、僕のお姫様だからね。」



言われたことにきょとんとするぼくのほっぺに、ちゅっとキスをした。


「ぼ、くが、王子様のお姫様…?きれいでも何でもないのに…?」
「哲平、森の中で初めて会ったときに、僕は運命を感じたんだ。
迷子になって泣いている君を助けたとき、君の笑顔を見て泣かせたくないと思ったんだ。ずっと笑っていてほしい。その笑顔で、僕のそばにいてほしいって。
それから毎日、君を探しては影から見つめてた。君はとてもおっちょこちょいだから、いつもすぐに助けにいけるように。」



王子様は、いつもぼくを見守ってくれてたんだ。嬉しくて、胸が熱くなる。


「哲平、君はさっき自分はきれいじゃないと言ったけど、君はとてもかわいいよ。それに、勘違いをしてる。
お姫様になれる条件を知ってる?」
「お姫様の条件って…、きれいで、大きなお城に住んでて…」


…さっき、連れて行かれた人みたいなのがお姫様になれるんじゃないの?

「お姫様になれるのは、きれいだからじゃない。お金持ちだからじゃない。
お姫様の条件はね、王子様に愛されること。
僕は、哲平を愛してる。だから、哲平が僕のお姫様だ。」


王子様の告白に、ぼくはまた泣き出した。でも、嬉しくて嬉しくて、泣きながら笑ってた。

「おうじさま、おうじさま!う、れしい、よぉ…っ!王子様は、僕の王子様なんだあ…!」



泣きながら、ふにゃりと笑顔になると、王子様は、ぼくにキスをしてくれた。

[ 31/459 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]


top