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10

先に入ってきたゴツい男たちが、ぼくと良平の縄を解く。


「お、お前たち、どうして!」


オロオロと取り乱すお姫様。


「遅いよ。手首にあとついちゃったじゃん」
「なに言ってやがる、ジャストタイミングだろうが」


くりくりと自由になった手首を廻しながら、良平が王子様に言う。
王子様、いつもと雰囲気が違う…?


「哲平、待たせたね。怖かっただろう?もう大丈夫だからね。」


王子様は、ぼくを優しく包み込むように抱き締めた。


「…っ、く、お、うじ、さま…っ、ふぇ、ええぇん…」


王子様、王子様。助けに来てくれた。
ぼくは、ぎゅうと王子様に抱きついた。

「し、白鳥様!どうしてこんなところに…、そ、それにどうしてそんな奴!
そんな奴、あなたにはふさわしくない!僕みたいな、美しくて家柄も申し分ない人間があなたにはふさわしいのに!
今までずっと、僕がお世話して、ずっとお側にいたのに!」
「君のした行為は、学園の規律に反するものだ。誘拐、拉致監禁、強姦未遂、脅迫。全て決して美しいものではないと思うけどね?
ふさわしくないのは、君のような卑怯な人間だ。僕だけじゃなく学園にもね。僕は、この学園において僕の親衛隊を作ることは禁じたはずだ。
それでも君は勝手に作り上げ、隊長を名乗り今回のような行為を幾度か繰り返していたね?
しかも、金の力で事件自体をもみ消していただろう。
今まではしっぽを掴めなかったけど、今日は完全に現行犯だ。もう言い逃れはできないよ、それなりの処分をさせてもらう。」

お姫様は、言われたことに真っ赤になって動揺してる。
そこまで言うと、王子様はそっとぼくの耳をふさぐように手を当てた。


「…手を出した相手が悪かったな。コイツは、俺の唯一だ。
貴様が俺のお姫様だと?ずっとお世話してただと?てめえなんざただの小間使いだ。今までそばで色々世話焼くのをほっといたのは便利だったからなだけだ。
俺の姫に手を出した罪は重いぜ?覚悟するんだな、なあ、偽物のお姫様よ。」
「…あ、あなたは一体…、そ、それに、今までと雰囲気が違う」


お姫様は、今度は顔を青くして王子様を指差す。

「ああ、ここでは王子様としてネコ被ってるからな。
聞いたことねえか?『シーザー』の総長、白鳥雅史だ。
そして、てめえが制裁を命令したこいつ等は、俺のチームの部下なんだよ。…連れていけ」



耳をふさがれて、何て言ってるのか全然わからなかった。でも、お姫様は顔を真っ青にしてがたがたと震えている。
話が終わったのか、王子様が僕の耳を離すと同時にお姫様が、周りにいたゴツい男たちに無理やり引きずられていった。


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