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8

あれから、ぼくは王子様を徹底的に避けた。
廊下もこけないように気をつけて歩いたし、できるだけ良平といる。



数日後の放課後、先生に呼ばれた良平をクラスで一人待っていた。



考えるのは、王子様のこと。



王子様には、お姫様がいた。しかも、あんなにきれいな。
ぼくなんか、背も低いしすぐにこけたりしちゃうし。


「お姫様なんかに、なれないよね…」


…そうだ。ぼく、王子様のお姫様になりたかったんだ。
でも、王子様にはもうお姫様がいる。ぼくはガラスの靴なんて持ってない。

「うっ…」

泣きそうになると、頭にぽんと手を置かれた。


「どうして泣いてるの?」

おうじさまが、目の前にいた。



「最近、僕を避けてたよね?どうして?」

優しく言う王子様に、胸がずきんといたむ。


「だ、、て……おうじさま、には、おひめさまがいて…、おひめさまが、泣いちゃうから、ぼくは、おひめさまじゃないから」


久しぶりにあえた王子様に、ぼろぼろと泣きながら何度も「おひめさまが」を繰り返す。
ちゃんと話したいのに、ひっくひっくとしゃくりあげちゃって言葉が出てきてくれない。
そんなぼくの背中を、王子様は優しくとんとんと叩く。



「あのね、僕は哲平と会いたくて会ってるんだ。哲平は、僕と会いたくない?」
「あ、あいたい…、前みたいに、おはなししたい」
「じゃあ、元通りだ。お姫様のことは気にしなくていいよ、ぼくが何とかするからね」



優しく笑う王子様に、こくこくと頷いた。

ごめんなさい、お姫様。もう少しだけ、王子様のそばにいさせてください。

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