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10

「一目君を見たときから、君に夢中だったんだよ。
一目惚れなんだ。友達に連れられて、おどおどとしてる君がかわいくて仕方なかった。
君が帰るとき、このまま終わらせたくなくて、なんとか繋がりを保ちたくて必死だったんだよ。
半ば無理矢理だったけど、カットモデルを引き受けてくれて、ほんとに嬉しかった。
僕は1ヶ月に一回君に会えるのをものすごく楽しみにしてたんだ。」



鏡越しに、桜庭さんと目が合う。
桜庭さんは、ほんとに愛しそうに僕を見つめながら話を続ける。



「でも僕は年上だし、男だし。どうしようかと思ってたんだけど、会うたび君は嬉しそうに頬を染めて笑顔をむけてくれるから。
ちょっとだけ期待したんだ。
それで、僕の髪の色を誉めてくれたときに君だけの色をプレゼントして、告白しようって決めたんだ。もしダメだったとしても、一度でも僕色に染めることができるから。」



ば、バレてたんだ、顔が赤いの。
桜庭さんの言葉に、真っ赤になる。



「こないだは、似合わないなんて言ってごめん。あれは、完全に僕のやきもち。
君の髪を、僕じゃない色に染められたから。あの後、ほんとはこういうつもりだったんだよ。『君にはもっと似合う色があるから、僕に染めさせて』って。
でも、啓太君走って逃げちゃって。
そのままカットモデルやめるって連絡があったって聞いて、どうしていいかわからなくなっちゃった。
君を傷つけてしまって、君に会うのが怖くて3ヶ月もなにも出来なかった。会えない3ヶ月は、ほんとに辛かったんだ。
でも我慢できなくなって、君に怒られてもいい。謝って、ちゃんと告白しようって家までおしかけたんだ。」



桜庭さんの話に、じわじわと涙が浮かぶ。
心臓はもうこれ以上はないくらい高鳴ってる。
どうしよう。嬉しくて、おかしくなってしまいそうだ。


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