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寝室で玉子酒を飲む纏を、子供たちが囲む。
「それはみんなで作ったんやで。早くようなりや、纏」
「おいしい…。ありがとう、みんな」
優しく微笑む纏に、みな誇らしげだ。
「すまんなあ、纏。俺がこっちにおれるのは明日までなんや。修行はあと1ヶ月、我慢してくれるか?」
「…うん…。」
さみしい。と、顔にでているが、口には出さない。晃の、負担にはなりたくないのだ。
「だ、大丈夫だ!おやじがいない間は、俺たちがおかあさんを守る!」
「そうですよ!もうわがままばっかり言いません!」
「そうだぞ!俺たちちゃんと手伝いするから!」
「だからぁ、元気だしてよぉ〜」
「「おかあさんにはぼくたちがいるからね!」」
「…いっしょ、いる」
「寂しくなったら、いつでも添い寝してあげるよ」
「バカ野郎!みんなで寝るのが一番いいに決まってんだろ!」
口々に、纏を励ます子供たち。
「はは、纏おかあちゃんは人気者やな。おとうちゃんは安心やわ。」
「…晃ったら…」
ぎゃあぎゃあと騒ぎ出した子供たち。
ガチャン!
「「「「「あ」」」」」
サイドテーブルにぶつかり、乗せていた湯飲みが落ちて割れてしまった。
「…部屋で暴れちゃいけませんっつってるだろうがああ!!」
「「「「「ご、ごめんなさいおかあさまー!!」」」」」
「ははは、おかあちゃんはこわいなー!」
「晃!」
賑やかな家族団欒の声が今日も響き渡る。
大事な大好きなお母様だけど、お父様に譲ってあげる。
父は大地。揺るぎなき山。
ああ、お父様にもかなわない。
end
→あとがき
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