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「な…」
「良平、良平、良平良平、良平…!
好きだ、好きだ好きだ好きだ好きだ!!!好きだ良平、愛してるんだ!!!」
良平が、ひゅっと息をのんだ。ぎゅうぎゅうと抱きしめながら叫び続ける。
「…何言ってんの気持ち悪い。頭おかしいんじゃないの」
いつもの口調で、辛辣な言葉が返ってくる。
「ああ、俺はおかしい。狂ってるんだ。お前のことばかり考えてお前に狂った哀れな男だ!」
俺の言葉に、良平が小さく震えるのがわかる。
「…やめてくれない?ほんと気持ち悪い、ばかみたい」
「自分のしたことがどれだけ酷いことかわかってる!それでも俺は、お前にしたことの後悔よりしたことによってお前に二度と触れられない事に絶望した…!」
「やめ…て」
「嫉妬していたんだ…!お前に大事にされる哲平が羨ましかった!お前の側にいる哲平が妬ましかった!」
俺は良平を離し、その足元にひれ伏した。
「…!」
「お願いだ良平、許さなくてもいい。受け入れなくてもいい。ただ、お前のそばにいたい。お前を愛していたい。」
「だから…やめて!愛なんて、いらない!」
良平が、叫ぶ。自分の小さな体をだきしめて。
「お願いです良平、お前が望むならお前を抱いたこの腕を切り落としたっていい。お前を陵辱したムスコを削ぎ落としたっていい。
愛してるんだ、良平」
「望んでないんだ、愛されることなんて!だから…」
「愛してる。愛してる。愛してる。
俺は君の下僕だ。愛させてください、良平。愛することだけは許して…」
俺は良平のつま先にキスをした。
「愛してる、良平…」
―――――良平の目から、一粒の涙がぽとりと落ちた。
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