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8

「俺さ、ひどい奴なの。最初はさ、ほんとはお前を便利だなーってくらいにしか思ってなかった。弁当はくれるし、掃除はしてくれるし。
でもさ、ある日教室で弁当食ったとき。唐揚げを口に入れてすぐ、なんとなくお前を見たらさ。
…お前、笑ってて。
ほんのちょっと、微笑んだくらいだったんだけど。その顔が、なんて言うかすごく優しい顔で。好きですって、顔中に溢れてて。
俺、その瞬間に『あー、やられた』って思った。」


あの時、こっち見てたんだ。はずかしい。
思わず、顔が赤くなる。


「そんで、認めてからはお前がかわいくてかわいくて。でも、なんて言うかちゃんと返事できなくて。クラスメートに『仲いい』って言われた時に、思わずあんな風にだけど『好き』って言って。どっかで俺はまだ、女の子が好きだしって思ってたんだと思う。
もやもやしてたら、元カノから会えないかって連絡があって。
もしかしたら、彼女見たら気持ちが変わるかも、やっぱり女の子がいいってなるかもって思ってたんだけど。」



山添くんは、僕の頬を両手ではさんだ。



「結果は、変わらなかった。あいつに寄り戻そうって言われた時、お前の顔しか浮かばなかった。『好きな奴がいるから』って言ったら、どんなやつか聞かれて『めっちゃ一途で健気で、優しい男の子』って言ったんだ。あいつ、びっくりしてたけど、笑って頑張れって言ってたのに。お前呼び出してこんなことしてるなんて。女って怖え…」


それが、多分あの時僕がみた光景だったんだろう。彼女は、僕を見て相手がすぐに僕だって気づいたんだろうな。
女の勘ってすごいな。



「今までごまかしてばっかでごめん。
…遅くなったけど、君が好きになりました。どうか俺とお付き合いしてください」
「よ、喜んで!よろしくおねがいします!」


僕は思い切り彼に抱きついた。

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