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5

「ちょっとお時間もらえますか?」



数日後、山添君と別々に下校する僕に声をかけてきた人がいた。
…公園でみた、山添君の彼女だ。
彼女は僕を、あの公園まで引き連れていった。
もう夕方遅いので辺りも暗く、誰もいない。


「わたし、彼の彼女なんだけど。」


彼女の口から出た真実に、ぎゅっと口を噛み締める。

「あなた、彼が好きなんですってね?彼から聞いたわ。最近、彼よくあなたといるでしょう?誤解しないでほしいの。彼はあなたが便利だから使ってるだけ。男子校で、彼女の私にあまり会えなくて寂しいから、私の代わりに好きって気持ちをぶつけてくれる人をそばに置きたいだけ。
あなたは、私の身代わりなのよ。
お願いだから、勘違いしないでね。彼女は、私。愛されてるのは、私。あなたは、ただの私の代用品なんだから。」



彼女の言葉に、ざくざくとナイフで切り刻まれたような痛みが胸に走る。…でも、これだけは。このセリフだけは、許せない。



「彼に、謝ってください」
「は?」



僕は、キッと彼女を睨みつけた。



「彼は、確かに僕のことをそんな意味で好きじゃないと思う。でも、彼は人を代用品なんかにする人じゃない!
人の気持ちを、利用するような人間じゃないんだから!」



彼女なのに、どうして彼を貶めるような言い方をするの。どうして彼を信じないの!
君は、彼に愛されてるくせに!
悔しくて悔しくて、涙がぼろぼろ落ちてくる。


「心配しなくても、彼は君しか見てないよ!あの時の笑顔でどうしてそれがわからないの?
あんなに愛してるって顔してたのに、どうして気付かないの!」



ずるい。君は女の子で。僕がほしくてたまらないものを、手に入れる権利がはじめからあるくせに。



「そんなに彼が信用できないなら、僕にください!僕に向ける好きと、あなたに向ける彼の好きを交換してください!」



僕だって、彼に愛されたかった。
思わず彼女に叫んでしまった。

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