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2

小暮テツヤは、なんと小暮と同じクラスだった。元々の顔もあり、テツヤの方はあっという間に人気者になったらしい。

俺には関係ない、と聞こえてくる噂にも関心なく過ごしていたのが、一つだけ関係ないでは済まされない噂が耳に入った。
それは、転入生が小暮に嫌がらせをされているという噂。

一体どういうことなのかと真相を確かめに、俺は小暮のクラスに行くことにした。


それが、小暮を悲しみのどん底に突き落とす第一歩だとは思いもしなかった。


放課後、生徒会の仕事を終えた俺は噂の真相を知るために小暮のクラスへと向かっていた。仕事で遅くなったためにもう残っている生徒はまばらだが、小暮には今日迎えに行くと言っていたためまだ教室にいるだろうと思っていた。
渡り廊下を超え、小暮のクラスへ向かう階段へさしかかった時、なにやら話し声が聞こえた。

「―――、でしょ?―――…っ」
「――…れには、――…」

よく聞こえないが、後者の声は小暮だと分かった。もしかして遅い俺を迎えに来てくれようとしたのだろうか。その途中で何かトラブルにでも巻きもまれたのだろうか。聞こえてくる声は何だか小暮を責めているような声だったのに気付いて少し足早に階段を駆け上がろうとした、その瞬間。

「あぶないっ…!!」

駆けあがろうと足を階段に足をかけたところだったので、下を向いていた俺は自分に向かって落ちてくる人影に気付かなかった。ふと差した人影に顔を上げると、落ちてくる人影。慌てて声を上げて支えるも勢いに負け、巻き込まれた形で階段から落ちてきた誰かの下敷きになった。

落ちる直前、人影ごしに階段の上で、逆光の中突き飛ばす形のまま両手を前に突き出して口角を上げている顔が見えた。



「あら、気が付いたの?」

目が覚めると俺はベッドの上にいた。それに気づいたそばにいた誰かがが俺に話しかける。ええと、どうなったんだっけ。確か、誰かが階段から落ちてきて…

「君は階段から落ちてきた子の下敷きになったのよ。今先生を呼ぶわね」

ぱたぱたと出て行った後ろ姿を見るとどうやらあれは看護士らしい。ここは病院か。そういえば独特のにおいがする。
階段から落ちてきた誰かの下敷きになったって言ってたよな。つまり、俺はそれで気を失って運ばれたってことだな。

まだぼんやりする頭を抑えながらゆっくりと起き上がって、直前の出来事を思い出す。
…だれか、じゃない。あの時は、あれだ。

そうだ。大事な小暮が、言い争いをしてて、そいつに突き落とされたんだ。

すぐに呼ばれて病室にやってきた先生に一通り診察を受ける。特に外傷もなく、検査でも問題がなかったためすぐに帰ってもいいと許可が出た。
診察の後に、俺以外に同じ学校から運ばれたものがいないか聞いてみたが運ばれたのは俺だけだったらしい。付き添いで来ていた男子がいたが、飲み物を買ってくると俺が目覚める前に病院内にあるコンビニに行ったそうだ。
診察に入ったから、入れ違いになったんだろう。小暮に違いない。診察を終えて病室に戻っても、誰もいなかった。俺が診察に入っている間に目覚めたことは看護士から聞いているはずだから、そのまま役員の奴らに連絡でもしにいったのかな。


病室で帰る準備をしていると、こちらに向かってばたばたと慌てる足音が聞こえてきて、扉がノックされる。返事をして扉を開けると、そこには泣きそうに眉を下げる愛しの小暮がいた。


「小暮!無事だったのか!心配したんだぞ!」


何ともない姿を見て、嬉しくて抱きしめる。その向こうに、ガタイのでかい男が真っ青になって呆然と立ち竦んでいた。

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