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7

小暮に覆い被さる西条を、思い切り殴り飛ばす。

「ぐぅ…っ」

西条は、ベンチから転げ落ち、うずくまった。

「あ、やの、こうじ…」

小暮が目を見開いて体を起こしこちらを見ていた。
俺は、怒りで目の前が真っ赤だ。
感情にまかせて、こんなにも激怒したのは初めてかもしれない。

「西条、てめえ心底見損なったぜ。前々からいけ好かない奴だとは思ってたけどな、こんなクズだとは思わなかった。よくも、よくも小暮を利用したな!
小暮の気持ちをダシにしやがって…!俺が気に入らねえならてめえの実力で勝負しやがれ!
人の気持ちを利用して、俺を陥れようなんざ人間として許せねえ!
学園の風紀を取り締まる委員長が、聞いてあきれるぜ!」
「…っ、くそ、綾小路てめえ…ここにいやがったのか、気付かなかったぜ。」

口の血を拭い、怒りの眼差しで俺を睨みつける。怒ってるのはこっちだっつの!

俺はくるりと小暮に向き直り、腕を引っ付かんで胸の中に閉じ込めた。

「あ、綾小路!?」

小暮が驚いて逃れようともがき出す。

「小暮、すまない。本当にすまない。俺のせいで、辛い思いをさせた。許してくれ。」
「綾小路…」

俺の謝罪を聞いて、もがいていた小暮が大人しくなる。


「はっ、よくも俺を殴りやがったな。これは学園内暴力だ、風紀として取り締まることができるんだぜ?
だがな、小暮を置いて出て行けば、不問にしてやるよ。さあ、小暮を離せ。小暮、こっちに来い。」


立ち上がった西条が、小暮に手を伸ばす。
この野郎、なんだって小暮に固執してやがるんだ!

「あ…」

西条の言葉を聞いて、小暮がまゆを寄せ俺を見た後離れようとする。



「――――やらねえよ」



俺は、小暮を離すまいといっそう強く抱きしめた。

「てめえのようなクズには、ぜってぇやらねえ。
――――こいつは、俺のだ。」


西条を睨みつけ、小暮の肩を抱いてその場を立ち去ろうとする。


「っ、いいのか!そんな奴と一緒にいるのがバレたら、失脚だぞ!お前は風紀じゃないから、俺と同じ言い訳はできないんだからな!」


西条が、背中に言葉を投げつけてくる。
それを聞いた小暮が、びくりと体を硬直させた。


「上等」



おれは、そんな小暮の背中を大丈夫だと言うように一撫でして、西条を振り返った。



「そんなことで失脚するような立場ならいらねえよ。
俺には、こいつがいればいい」



小暮の手を引いて、温室を後にした。

end

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