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7

思わず足を止め、ぼうぜんと二人を見つめる。
俺に気づいた小暮が、はっとして一瞬目を見開き、ひどく泣きそうな顔をしてすぐ無表情になった。


「よう、綾小路。こんなとこで会うなんて偶然だなあ。」


ニヤニヤと西条が近づき、声をかけてくる。小暮は無言で西条の隣についてくる。



「…珍しい取り合わせだな、風紀の指導か?」


動揺を隠し、西条に話しかける。


「いや、指導なんかじゃねえよ。俺は小暮と『仲良し』なんだよ。なあ、小暮?」


意味深に『仲良し』を強調して西条が小暮の肩を抱いた。



小暮は、俺を見ずに頷いた。



「っ、そうかよ。ははっ、悪名高い一匹狼と仲良しなんざ風紀委員長もたかがしれるな。
小暮なんかと連んでも評判が落ちるだけだぜ。なんたって学園始まって以来の不良だって言われてみんなから避けられてるんだからな。」



小暮の方は一切見ず、西条をバカにするように鼻で笑ってやった。
視界の端で、小暮の体が一瞬硬直したのがわかる。



「くくっ、そうかな?意外とかわいいんだぜ、こいつ。」



そう言って、ニヤニヤ笑いながら小暮の肩を引き寄せ、引き寄せられて少し下がった小暮の髪に軽く口づけた。



途端に小暮が真っ赤になる。



「…西条、離してくれ」
「ああ、悪い悪い。まあ、小暮はこれから暴れることはねえよ。俺がいるからな。さ、行こうぜ小暮。」



西条は、勝ち誇ったように口角をあげ、小暮とその場を去っていく。
すれ違う一瞬、小暮がひどく辛そうな顔をしたがすぐに無表情になった。



『二人できちゃってるとか』



上村の冗談が頭で繰り返される。
西条たちが去った後、俺は誰もいない廊下で呆然と立ち尽くしていた。


end

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