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5

小暮から『会えない』とメールが来てから1ヶ月。
俺はまた一人頭を抱えていた。
毎週だったはずの密会が、この1ヶ月全て小暮から断りのメールが入っていた。

しかも、メールが来るのは密会当日もしくは前日。
『今日は会えるかも』と期待したとたん、その期待を裏切るかのごとくメールが入るのだ。


と、そこまで考えてふと頭を振る。
いやいや、期待って。言葉おかしいし。
まるで俺が小暮に会いたいみたいじゃないか。


「くそ、小暮のくせに俺を拒否しやがって。誰のために俺の貴重な時間を割いてると思ってんだ。」


うん、この感情はきっとこの解釈が正しい。俺が会いたがってるなんて気のせいだ。


納得はしたものの、気は晴れない。
イライラして、些細なミスをおかしてしまう。
本当に厄介だ。


イライラと書類を処理していると、山本がため息をついて声をかけてきた。

「どうしましたか?調子が悪そうですね。」
「いや、ちょっとイライラしてるだけだ、悪い」

はっとして謝罪する。
そうだ、イライラしてるからってミスをするとかだめだろ。


「どしたのー?あ、あれだ。最近愛しの風紀委員長が絡んでこないからイライラしてんじゃないの?実はいつも絡まれるの楽しみにしてたり。うぷぷ、会長ツンデレ。」

上村がからかってくる。

あほか。あんなもん楽しみなわけねーだろが。
そういや西条も最近絡んでこない。
たまに廊下で会っても、前はいちいち突っかかってきてたのが、今はニヤニヤとイヤな笑いを浮かぶてこちらを見るだけだ。
絡まれないのは万々歳だが、あのニヤニヤした面はうっとおしい。



「そういえば聞きました?風紀委員長なんですが、最近小暮と一緒にいる姿をよく見かけるらしいですよ」
「誰だと?」



草壁の言葉に、聞き間違いかと聞き返す。


「二年の小暮鉄男ですよ。あの、悪名高い一匹狼の不良。僕のクラスメートが言ってました。」
「うひゃあ、異色の取り合わせ!そういや最近小暮が暴れたって噂も聞かないね。いや、もしかしたら風紀委員長のおかげで改心したとか?二人できちゃってるとか、きゃーっ!
あり、会長どこいくの?」


書類を手に、がたんと立ち上がり扉に手をかける。

「できてるとかバカじゃねえのか。ただ小暮の態度を風紀として指導してるとこを重ねて見られてただけだろ。
職員室に行ってくる」

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