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小暮の話はこうだ。
自分は人より身長もでかいし、顔も厳つい。
元々小暮はケンカは嫌いで、その容姿の為に絡まれることが多く、仕方なしに応戦したらセンスがあったのか、負けなしになったそうだ。
「人に殴られるのも、殴るのもすごく嫌なんだ。わ、悪口言われるのもすごく辛い。ほ、ほんとは、みんなと仲良くしたいのに、オレ、こんな見た目だから、誰も近付いてなんてくれなくて…」
でも、自分が話しかけるとすごく怖がられるから、いつも一人でいるらしい。
「そ、そうか」
可哀想だとは思うが、俺にどうしろと。友達にでもなってほしいのか?
悪いが、お前と友達になったらチワワちゃんたちが怯えて俺に近寄らなくなってしまう。
それは困る。俺の下半身が。
「その…こ、ここからが本題なんだけど」
おどおど、ちらちらと組んでいる指をくるくる回しながらこっちを見る。
「じ、実は、オレ、す、すすす好きな子、いや、好きな奴がいて、でも、そいつはやっぱりかわいい子が好きみたいで」
へえ!好きな奴!
一体どんな奴なんだ。ものすごく知りたい。口を挟みたくなるのをぐっと我慢する。
「綾小路は、すごくモテるだろう?いつもかわいい子を連れてるし、かわいい子たちに囲まれてる」
一つ息を吸うと、小暮は決意した表情で俺の目をしっかり見て、こう言った。
「だ、だから、教えてほしいんだ!か、かわいいなっていう仕草や、態度とか話し方を!」
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