感想 ▽
5.かざす花
2009/11/02 - 辛口感想
ジャンル:学園恋愛
長さ:長編(連載中)
第3章の第2幕まで読ませていただきました。
いいかげんなあらすじ:
家庭の事情で許嫁となった、巴と壮司。
ともに全寮制の学校に進学し、高二になってから生徒会の役員になる。
生徒会の仕事、部活、学校行事、勉強などに追われる日常のなかで、巴と壮司の関係は少しずつ変化していく。
ストーリーの起伏が小さく、人物に大きな変化が見られないため、ドラマチックさに欠けています。
また、全体的にテンポが悪く、文体と内容が合っていないです。
文章自体は書き込まれていて、好感が持てました。
現時点では、「恋愛小説」よりも「青春小説」のような印象です。
勉強も部活も学校行事も生徒会活動も、全部がんばっています!
……みたいな感じの、恋愛だけに特化しているわけではない、
高校生活全般を含んだストーリーだからでしょうか。
恋愛要素よりも、恋愛以外の要素からの刺激がのほうが強いのも、「恋愛小説」らしくない要因だと考えられます。
さらに、この作品は巴と壮司、両方の視点から描かれています。
そのため、二人が相手をどう思っているのかわかってしまい、
恋愛モノらしいドキドキ感が損なわれてしまっているのかもしれません。
登場人物の関係が安定してしまっているせいで、先の展開に期待できませんでした。
すでに8万文字を越えているのに、主な登場人物の内面に、目立った変化が見られないからです。
ストーリーの起伏が小さいのも相まって、ドラマチックさに欠けていました。
剣道の試合や、部対抗リレーなど、動的で盛り上がりそうなシーンを、
回想で済ませてしまっているからでしょう。
起こる事件も小粒で、あまりワクワクハラハラできなかったです。
現代の高校生の視点なのに、文体が古風で硬すぎます。
多少古風・ちょっと硬めな文体なら、硬派な登場人物に合いそうですが、少々度がすぎています。
コミカルな会話や、SやらMやら携帯などの単語が、妙に浮いてしまっているのです。
読んでいて、なんだかムズムズとしてしました。
さらに、句点が少なく、一文が長めなため、テンポが悪かったです。
読みにくくはないのですが、どうも文章の流れに違和感があるのです。
ですが、第2章の途中あたりから、少しずつ読みやすくなっています。
イイ意味で肩の力が抜けてきて、文体の硬さがやわらいできているのでしょう。
また、描写も説明もしっかりと書き込まれていて、好感が持てます。
まだまだ描写は増やせそうですが、手抜きっぽさがないのです。
目立つツッコミどころもないため、硬派な作風が好きな方には、安心して読めそうな作品です。