感想 


25.喫茶店《cafe》ノクターン
 2010/06/20 - 辛口感想
ジャンル:現代ファンタジー
長さ:短編(完結)


いいかげんなあらすじ:
マユミは放課後、親友のミキといっしょにカフェに行く。
ミキに合わせて“願いの叶う紅茶”を注文したマユミだが、紅茶を飲んだ途端、幸せな気持ちになり眠ってしまう。
目を覚ましたマユミは、誰もいない世界にいた。


描写が少なく味気ない面もありますが、よくまとまっている短編です。
ただ、設定と伏線の張り方が甘くて、説得力に欠けています。
また、ラストが説教くさいです。
どんどんシーンが変わっていくのは、楽しかったです。





喫茶店を舞台にした、温かくていい話なのかなぁ、と勝手に想像しながら読み始めました。
しかし、読み進めていくうちにホラー的な展開になり、そして終盤では魔女も出てきて……。
雰囲気の移り変わりに驚きました。

けれども、無駄がないため、よくまとまっている作品です。
描写不足気味ではありますが、変にゴチャゴチャとしていないため、読みやすかったです。


基本的には、サクサクとストレスなく読めました。
ですが、終盤からラストにかけての展開の展開が、腑に落ちなかったです。

原因としては、まず、設定の甘さが挙げられます。

人々が“願いを叶える紅茶”を求めた理由は、「人間の欲」とは直結しないのではないでしょうか。
“願いを叶える紅茶”の作用は、まるで依存性の高い麻薬です。
紅茶を飲んだ人間よりも、魔法の質に問題があるような印象を受けました。

また、主人公には紅茶の魔法がうまくかからなかったため、幸せな夢を見なかったとあります。
つまり、物語を通して、主人公が誘惑されることは、一切なかったと考えられます。
それなのに、主人公が「欲に負けず、この世界に向き合いつづけた」といえるのでしょうか。

さらに、なんでアルフィは「虚無の世界」を作ったのでしょうか。
そもそも、「虚無の世界」とはなんなのでしょうか。

また、アルフィに関する伏線が不足していたため、終盤からラストにかけての説得力に欠けています。
唐突に登場したアルフィによって、謎解きが行われる展開は、都合がよすぎて興ざめしてしまいました。


「人間の欲は嫌だね」的なラストが説教くさいせいで、あまり読後感はよくなかったです。
また、先述の理由から、ラストの説得力にも欠けていました。
読みやすい作品だからこそ、もったいないです。


描写の少なさも気になりました。
文章量の割にはイメージしやすいのですが、もうちょっと描写がほしかったです。
重要な場面もさらりと書かれているため、味気ないのです。


いろいろと欠点を挙げていきましたが、決して悪くはない作品です。

シンプルな構成は頭に入りやすく、気持ちよく読み進めていくことができました。
多すぎる登場人物やわかりにくい設定等、無駄に要素を詰め込みすぎていないのも、好感でした。

また、どんどんシーンが移り変わっていくのが楽しかったです。
中だるみがなく、読んでいて退屈しない作品です。


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