神羅兵は難なく蹴散らした私達。

私達と神羅兵の戦いを高みの見物していたレノが下に降りてくる。


「あ〜あ・・・情けない。かったるいけど・・・出番だぞ、と!」


レノはそう言うと一瞬でクラウドとの間を詰め通り過ぎ振り向きざまに警棒を振りかざした。


「クラウド!」


私は素早いレノの動きを止めるべくレノの足元に銃を撃つ。


「あれ、お姉さん・・・惚れられた相手にも容赦なく攻撃する感じ?」

「当たり前でしょ!敵は敵だから」

「そういうことも気に入ったぞ、と」


レノは調子の良いことを言いながら私の弾を交わしていく。

早い。

しかし少しは役に立ったのか、レノは限界が来たようで膝をついた。


「くっ・・・誤解だぞ、と。俺はただ・・・」

「クラウド、違う!」


エアリスはそう叫びながらクラウドを止めようとかけよった。

完全に敵ではないの?と思考を巡らせていたら、伍番魔晄炉爆破作戦の当日の朝に現れた死神のような魔物がレノの周りから現れた。


「え・・・また!?」


言うも虚しく魔物に連れられ後ろ向きに連れ去られるように宙に浮かぶクラウドと私とエアリス。

お花畑の奥にあった扉に押し入れられ、魔物から解放された。


「こいつら・・・」

「襲って、こないね」


エアリスの言葉に同調する。

あの日は私達のことを阻んでいたのに、今日は何故?


「おい!開けろ!」


追っ手の神羅兵の声が聞こえた。

ドアを開けようとしている。


「行くぞ」


「こっち!」


エアリスの案内する方向にクワウドと私は着いて行く。

ただひたすら上に上がる。

魔物も私達に上に上がるように仕向けているのか、他の道へは通そうとしない。


「あそこ、屋根裏に上がれるよ!」

「ああ・・・穴から出られるな」

「きゃっ!」


エアリスが体重をかけていた手すりが崩れ、エアリスが前に体勢を崩した。


「エアリス・・・!」


私とクラウドが助けようとすると魔物がエアリスの体を支えた。


「えっ・・・助けて、くれた?」

「急ごう」


よく分からないけど、今は魔物にでも頼るしかない。

すると、木の板だけで割れた道を繋げている足場の悪い場所が見えた。


「俺が先に行く」

「じゃあクラウドの次エアリス行って。私は何かあった時のために最後に行くね」

「う、うん・・・」

エアリスはバランスを取りながら恐る恐る進んでいく。

「大丈夫だ」


クラウドは右手をエアリスに差し出した。


「どこだ!」


扉が開き、神羅兵が入ってくる。

当たりを見回し、エアリスの姿を見つけてしまった。


「あそこだ!」


神羅兵は足場の木に向かって銃を撃つ。


「エアリス!」


私の叫びも虚しくエアリスは足場をなくし、下に落ちてしまう。

が、ガレキと足場の木のおかげで滑り台から落ちるように尻もちをついた。


「大丈夫か!」

「平気・・・じゃ、ないかも・・・」

「おい、撃つな!怪我なんかさせてみろ。お前・・・終わるぞ。目的は・・・保護」


神羅兵に肩を貸したレノが現れて撃った神羅兵に一喝した。

エアリスと神羅の関係性が、いまいちよく分からない。

そしてかけよる神羅兵から守るように魔物がエアリスを取り囲む。


「名前、あれ撃って落とせるか」

「え?」


クラウドが指した先には大きいシャンデリア。

あれを落として神羅兵に当てれば・・・。


「了解!」


私はスナイパーライフルのスコープを覗きこみ、引き金を引いた。


「うわぁ!」


見事に命中し、シャンデリアが落ちて神羅兵がひるむ。


「エアリス!こっち!」

「うん!」


エアリスが何とか私達と合流して、屋根裏に続く梯子を登る。


「ここにもいるのか」


クラウドは魔物を見て呟く。


「こっち、来ませんように」

「俺から離れるな」

「わ、かっこいい」


怯えるエアリスに淡々とそう告げたクラウド。

確かに、かっこいいと思った。

同時にそれをまっすぐにかっこいいと言えるエアリスに羨ましさを感じた。

私が同じように言われても、かっこいいと思いながら、からかってしまう。


「あそこ!」


エアリスが指す方向に歩くと、下に神羅達が撤収するすがたが見えた。

教会のドアがパタンと閉まると私達を取り巻いていた魔物が姿を消した。


「え、消えた・・・?」

「何だったんだ」

「きっと・・・やっぱり分からない。・・・早く行こ」

「エアリス?」

「ううん、名前、何でもないの」


エアリスは私の方へ振り返らず歩き続ける。

今、聞くべきことではないのかな。


「ね、屋根の上、行こう?ほら、あの柱のそばに・・・駅、あるの。名前、クラウド行くよ」

「あぁ」

「うん」


私達は梯子を降り、駅へと目指すことに。


「・・・これから、二人はどうするの?」

「しばらくは、ボディーガードだ」

「と、その助手やります」

「そうでした」

「その後は七番街のスラムに帰る」

「帰り道、分かる?」

「あぁ」

「え、クラウド分かるの?私分からない」


道が分かると言い張ったクラウドに私が疑問を投げかける。


「・・・」

「怪しい・・・」

「・・・さっきの男、あれは神羅カンパニーのタークスだ。タークスがあんたに何の用だ?」

「さぁ・・・。ね、タークスってソルジャー候補をスカウトするんでしょ?」

「それは、仕事のごく一部。タークスの仕事は他にも色々あるんだ。暴力を匂わせて・・・」

「脅迫、拉致・・・最低だよね。だから名前、あの人は駄目だよ」


へぇ〜と思いながら二人の会話を聞いていたら、エアリスに話を振られて驚く。


「だ、駄目って・・・てか、ないよ。神羅だし、敵だし」

「敵じゃなかったら、ありなの?」


エアリスがなかなか私を詰めて来るので、困っているとクラウドが口を挟み始めた。


「・・・ありなのか」

「いや、ないない!何か変な人っぽいし・・・」


まさかのクラウドの言葉に私は顔の前で手を横に振る。

すると、エアリスがニヤニヤしながら私とクラウドを交互に見ていた。


「・・・話を戻そう。あんたと、あのタークスの関係は?顔見知りに見えた」

「ソルジャーの素質!私、すっごくあるのかも」

「もう、いい」

「あれ、怒った?」


私もそれ以上突っ込もうとはしなかった。

やがて道を抜けて駅が見えてくる。


「どうか皆さん、落ち着いてください!」


そう呼びかける駅員の周りを住民達が取り囲んでいた。


「おい、どうなってんだよ!」

「・・・騒がしいな」


落ち着きがない駅の様子にクラウドが横目で見つつ呟く。


「魔晄炉、よく見えるからね・・・ここ」

「・・・野次馬か」

「皆、心配なんだよ」


私達がしたことの事の大きさを改めて痛感して、つい表情が曇る。


「名前・・・大丈夫だ」


それを見かねたクラウドが私に声を掛ける。


「う、うん・・・」


私達の行動でエアリスみたいに何の罪もない人が傷つくかもしれない。

でも皆を守るためには私達がしていることも間違っているはずじゃない・・・よね。

複雑な気持ちになりながら混乱に包まれている駅を後にした。

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