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思い切り打ち付けた躰が、痛みを感じる。
受け身を取ろうと無意識に出た腕は、じんじんと熱くなる。

『…二度と俺の前に現れないって言うなら、帰してやるけど?』

うつ伏せで倒れたままの栞の躰を跨ぐと、壱は膝を付いた。
彼女を恐怖に陥れる事で、壱は煩わしい訪問者が二度と訪れないように仕向けたかったのだ。

「学校に来い」などと何度言われたところで、壱にその気は全くないのだから。

『…おい、聞いてんのかよ。いつまでビビってんの』

グッと掴んだ栞の肩を強引に引き寄せ仰向けにすると、壱は彼女の顔を覗き込んだ。


ー…瞬間、ふと息を飲んだ。


メガネの外れた栞の瞳が、真っ直ぐに壱を捉えていた。
先程までの恐怖に脅えて歪んだ表情は、最早彼女に存在しない。

吸い込まれるように合わせた瞳は、壱の身動きを塞いでいた。





「ーー…キミ、誰」





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