16
ブラジャーをずらされたことにより剥き出しとなった乳房を蒼井に見られ、蓮の頬は羞恥で瞬く間に真っ赤に染まった。
「やっ…、やだっ…!やめてよ、蒼井っ…!」
「そんじゃあ、俺に何されたか宮藤に言う気になったか?」
「だから言わないってば…!ばかっ…!」
「…聞き分けが悪いな。何をそんなに嫌がる必要があるんだ?」
冷たい視線に見下ろされ、露出した乳房を下から持ち上げるように蒼井の手が包み込むと、蓮の躰はそれを拒むように小さく震えた。
「ちょっと泣き付いて怒らせるだけでいいぞ」
「もっ…、触んないでっ…!先生は…、蒼井の挑発になんてのらないってば…!」
「そうか…、俺が浅見に手出したところで、宮藤はまったく興味ないってことか」
「えっ」
蒼井の発言に驚いて目を丸くした蓮は、なんとか逃げようと身じろいでいた躰の動きをぴたりと止めた。
仮にも彼女が他の男に組み敷かれているというのに、興味ない、なんてこと、あっていいのだろうか。とはいえ感情の起伏の少ない宮藤が、怒り狂う姿など想像もできない。
例えば蒼井に胸を触られたと泣き付いた場合、宮藤はいったいどんな反応をするだろうか。
『へぇ…、大丈夫だったか?まぁ、減るほどないんだし、猿に触られたとでも思って忘れろよ』
妄想の中の宮藤がまるで興味なさそうに気怠げに言う姿が思い浮かび、蓮はぞわっと背筋が寒くなるのを感じた。
まさかそんなことはないと思いたい。が、それにしたって生々しい。有り得ないと言い切れないところが恐ろしい。
「おい、戻ってこい」
「ひゃ…っ!」
状況も忘れて宮藤の姿を思い浮かべていた蓮は、蒼井によって唐突に乳首を摘ままれ短い悲鳴をあげた。
「ちょっ…やぁっ」
「今完全に俺のこと忘れてただろ。余裕だなぁ、浅見」
片手で両手を拘束したまま、空いている方の手でゆっくりと露出した乳首を指先でくりくりと捏ねまわされ、蓮は堪らず身を捩った。
『猿に触られた』で済ませられる状況ではないのは確かだ。
「あっ、待ってっ…、や、だぁ…っ」
蒼井の柔らかな髪が肌に触れ、乳首を指で刺激されている方とは反対の胸を、色素の薄い乳輪をなぞるように生温かい舌が這いだした。
両方の胸の敏感な個所をやんわりと指と舌で撫でられ、蓮は漏れ出そうになる声を堪えてぎゅっと唇を結ぶ。
宮藤以外の相手から与えられる刺激で反応するなど、絶対に嫌だった。
濡れた舌が先端を包み込むことで蓮の意思とは関係なくぴんと勃ち上がり、感度のよくなったそこをちゅうっと優しく吸い付かれた時には、思わず「んっ」とくぐもった声が唇の端から漏れ出した。
「っ…うっ…もう、やめて…っ」
じんわりと目尻に涙を浮かべて力なくそう呟くと、短い溜め息と共に拘束されていた両手がふっと解放された。