顔を顰めて浅く息を吐き出す宮藤を見上げ、蓮は堪えきれずにぎゅっとその腰へと腕を回した。
話すことも連絡を取ることもしていなかった一週間分の不安を、宮藤の胸板に頬を寄せて感じる体温で解消する。

「…なんだよ、甘えんなよ浅見」

「充電中!」

「なんだそれ」

迷惑そうな声が頭上から降ってきたが、引き剥がされることはなかった。
清潔感ある洗濯の香りと宮藤の匂いをシャツから仄かに感じ、すんすんと鼻を鳴らして顔を埋める。

「わぁ〜、先生いい匂い」

「…嗅ぐなよ、なんなんだお前は」

そう言いながらも宮藤の左手が蓮の腰に回ると、さらさらの柔らかい髪を梳くように頭を撫でた。
抱き着いて受け入れてもらえるなど、今までなら絶対に考えられないことだった。
自分に触れる大きな手の存在に嬉しくなって、蓮は顔を綻ばせて宮藤を見上げた。

「先生、キスしてもいいよ」

「お前、調子に乗ってるだろ。学校でそういうことする気はないんだが」

「先生…言ってる事とやってる事が違うよね」

じとりと咎めるような視線を宮藤に向け、蓮は頬をほんのり赤らめた。
腰に回っていた手がいつの間にかスカートの中へと入り込み、お尻を撫でている。
この行為は学校でして良いと言うのだろうか。

「気にすんなよ、細かいこと」

「気にするよ…!」

悪びれる様子もなくしれっとした顔でお尻を撫でていた宮藤の手が、割れ目を滑り下りて下着越しに陰部へと触れた。

「あっ、先生…っ、だめっ…」

「いつまでもお前がくっついてるからだろ」

「待って…っ、戻るの遅くなると…蒼井に小言言われる…っ」

陰部を優しく擦るように前後に指が行き来することで、蓮は宮藤のシャツにしがみ付いて躰をぴくりと震わせた。
じれったい快感が下腹部を刺激し、じわっと熱が漏れる感覚に思わず腰が揺れる。

「…そういや、蒼井と付き合ってるんだってな」

何でもない事のように宮藤の口から発せられた言葉に、蓮は驚いて視線を上げた。
宮藤の口許に薄っすらと浮かんだ笑みが、どこか反応を楽しんでいるようにすら見える。

「な…なんで、先生がそれ…っ」

「二年が話してるの聞いた。すっかり有名人だな」

「違うよ…!付き合ってないからね!絶対有り得ないから、信じちゃだめっ…!」

「別に…、信じちゃいねーけど」

必死な顔で否定する蓮を見て宮藤は口角を上げると、彼女の背後にあるドアの上下スライド式の鍵をガチャッと音を立てて施錠した。

「…浅見は俺しか見てねーもんな」

余裕たっぷりの笑みで顔を覗き込まれ、蓮は目を丸くする。
悔しいが、それが事実なのだから言い返す言葉も見つからない。
唇を尖らせて目の前の切れ長な瞳と視線を合わせ、蓮は目を逸らすようにすぐに瞼を伏せた。

「そうだよ…、私は、先生だけだよ」

控えめに小さくそう呟くと、宮藤の手によって俯いた顔を上に向かされ、そのまま唇を奪われた。




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