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「浅見…、まさかもう動けないなんて言うんじゃないだろうな」

肩で息をしながら呼吸を整える蓮の顔を覗き込み、余韻に浸る瞳と視線を合わせる。
伏せた睫毛が涙で濡れて艶めき、緩んだ唇の端に付着した唾液が光って普段見せないそそる表情をしたまま宮藤の言葉に答えるように首を小さく横に振った。

「ちょっと…、待ってせんせい…」

宮藤は熱を持った息を吐き出す蓮の唇の端を指で拭うと、彼女の返事を無視して下から突き上げた。
深く入り込んだ硬い肉欲の先端部が奥を刺激し、蓮は慌てて宮藤へとしがみつく。

「っあ…!やっ、あっ…、だめっ…!せんせっ、私が…するからぁっ」

「できんの、へばってるみたいだけど」

「は、ぁっ、…っで、できるからっ、せんせ…っ」

下からゆさゆさと揺さぶられながら、途切れ途切れになんとか言葉を吐き出し訴えかける。
楽しそうに口角を上げる宮藤の首に腕を回したまま、蓮は濡れた瞳でキッと強気な視線を送ってみせた。

「先生は、疲れてるんだから…、私に任せてっ…!」

「…お前俺を年寄り扱いしてるんじゃないだろうな」

「し、してないよ…!我儘聞いてもらったから、私が…先生のこと気持ちよくしてあげたいだけだもん…」

強気な顔で見てきたかと思えば、言葉の後半で恥ずかしそうに目線を外す。
なんとまあ理解し難い生き物ではあるのだが、そこがまた宮藤にとっては新鮮でいろんな表情を引き出してみたくさせる。

「…そんじゃ、頑張ってもらおうか」

蓮の顔の横で乱れたさらさらな髪をそっと耳に掛け、唇を寄せて低く艶のある声で囁く。
ぞくぞくとした痺れが耳から全身に広がり蓮はうっとりとした表情で数回頷くと、躰をゆっくりと上下に動かし始めた。

ぎこちない動きで自分の中に埋まった宮藤の欲望を擦り上げ、短く声を上げながら腰を揺らす。
肌と肌が触れ合う体温に心地良さを感じ、自ら動くことで得られる快感が蓮の躰を突き抜けてもっともっとと夢中にさせる。

「あっ、はっ…、きもちぃ…、先生はっ…?先生も気持ちいい…?」

「…こんなに締め付けられて、良くないわけないだろ」

眉根を寄せ薄っすらとした笑みを口許に浮かべて自分を見つめる宮藤の姿に蓮は嬉しそうに顔を綻ばせると、躰を支えられながら少しずつ動きを速めていく。
コツを掴んできたのか初めてにしては器用な腰使いで、貪欲に快楽を求めるように熱く滾る肉欲を擦り上げる。

「あ、うっ、…ま、またっ…またイっちゃう…っ」

蓮の動きに合わせて宮藤が下から突き上げると、より一層増していく強い刺激にじわっと躰中に汗が滲み出た。

「ん、あっ、せんせっ、奥っ…だめぇっ、あっ、あっ…!」

今にも達しそうな勢いで宮藤の首に腕を回したまま善がる声を張り上げると、蓮の躰は突如ふわりと浮いた。

「あ…っ」

驚いて見開いた瞳の先に、口角を上げた宮藤の姿が映し出された。
抱えられるようにして一瞬浮いた躰は、柔らかなベッドへと沈んでいた。



Modoru Main Susumu
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