13


「…浅見、寝たら悪い」

頭の下に両手を置いて言われるがままに横になった宮藤は、これから何をされるか大した興味も無さそうに欠伸を噛み殺した。
挿入までたどり着くのは無理だろうと、既にその気が感じられない。
先程の蓮の悶えた姿に欲情はしたものの、どうやら疲れの方が勝っているらしい。
想いが通じ合った夜にこれではさすがに悪いだろうかと思いつつも、横になった事で再び睡魔が近付いてきてしまった。

眠そうにしている宮藤の下半身へと蓮はにじり寄ると、彼の穿いているスウェットパンツの上から股間をそっと撫でてみた。

「先生…この子、元気ないの…?」

「くっ…、やめろ、変な呼び方すんな」

まるで自分とは切り離した生き物を呼ぶように性器をこの子扱いする発言に、宮藤は思わず笑った。
何を笑っているのだろうかと蓮は不思議そうに首を傾げ、宮藤の下半身を隠すスウェットと下着に手を掛ける。

「ねぇせんせ、笑ってないで…これ脱いで」

「…ほんと積極的だな、脱げばいいんだろ」

真剣な顔でこちらを見てくる蓮の要求を今だに先程の笑いを含ませながら受け入れると、とっとと下半身に身に着けているものを脱ぎ捨てる。
まるでスイッチが入ったように積極的になる蓮の言動を楽しむのも悪くない、そう思い直して次の彼女の行動を待つ事にした。

「で、なにしてくれんの。フェラでもしてくれんのか?」

剥き出しになった宮藤の下半身へと蓮は視線を向けると、初めてまともに見た男性器へと釘付けとなる。
宮藤とはセックスを済ませているとは言え、媚薬で我を忘れていたあの状態では殆ど見る事もしていなければ覚えてもいない。
僅かに硬度を持った彼の性器へと手を伸ばし、優しく触れてみる。
この宮藤の躰の一部が自分と繋がっていたのかと思うと、嬉しさと感動が同時に湧き上がる。

「…浅見、経験のないお前に手だろうが口だろうが何かされても勃つ気がしないぞ。大丈夫か」

「えっと…、先生…ごめんなさい…。先生疲れてるから、えっちは…我慢する…」

控えめにそう言いながら、宮藤の躰を膝を付いて跨いだ。
蓮の言っている事と行動が結びつかず、宮藤は眉間に皺を寄せた。

「…おい、なにする気だ」

こんな事は、前にもあったような気がする。
彼女の行動がまったくもって読めず、予想外の行動をされて驚かされた。
あれは初めて彼女に触れた日の記憶だ。

「先生の、ちょっとだけ…貸して下さい。私…一人でするから」

頬を赤らめとろりと下がった情欲に濡れた瞳で宮藤を見つめると、彼の性器に手を添えて自身の陰部へと擦り付けた。
宮藤の手によってほぐされたソコは潤いを保ったまま、ぬるりと彼女の体液が性器へと塗り付けられる。

「……お前はまた、想定外のことを」

一人でする事を覚えるといつでも気持ちよくなれると教えたのは自分だが、今この瞬間にそれをするというのか。
急に羞恥も忘れて行動的になるのは、彼女のどこかに発情するスイッチでもあるのか。

「あっ…、先生の擦れて、きもちぃ…」

教えてもいないというのに淫猥に腰を動かすと、心底嬉しそうに官能的な表情で笑みを作った。
今日は絶対にもう勃つ事はないと余裕でいた数分前の自分を、宮藤はひっそりと後悔した。




Modoru Main Susumu
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