2015-1-18 Sun 20:35
「あっ!トシさんだー!」
俺の顔を見たとたん、満面の笑みでこの手を握った。
「お疲れ、今日のライブも...よかったぜ。」
「ほんと!?ありがとう、トシさんのことよーく見えたよ!」
そう言われると、ついついこっちも笑っちまう。
あんまりにも無邪気で、一生懸命で、そんなコイツに俺は惚れちまったわけだ。
「トシさんの手...冷たいね。ごめんね、屋外のイベントだから寒かったでしょ?」
「いや、寒さなんて忘れてた。楽しかったからな。」
背後からトントンと、肩を叩かれた。
「2部も見てるからな。」
「ありがとう!待ってます!」
ポールで簡易的に仕切られた通路を通り過ぎると、現実に引き戻される。
後ろ髪を引かれる思いで、アイツを遠目から見れば、思い出すさっきまでの温かさ。
「...CDあと5枚、くれねぇか。」
ありがとうございます、そう言って店員が再び握手券を渡してくれた。