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君は僕を
勘違いしてるみたい
阿久津SIDE
「名前、ちょっといい?話、あるんだ」
『んー?なになに?』
耳に入ってくる東くんと名前の会話。何となく雰囲気で告白するのかな、と伝わってしまう。
「ここじゃ、ちょっと…空き教室行かね?」
『ん、いいけどー?』
少し緊張した顔の東くん。教室を出ていく二人。これはやっぱり告白か、と思い滅多にざわつかない心がざわつく。OKするにしてもしないにしても、自分はまだ告白していない状況で誰かに告白されてしまうというのは、こんなにも胸くそ悪い物なのか。
一人でもやもやざわざわしているうちに二人が帰ってきた。浮かない表情の東くんといつも通りの名前。
『ねーねーあくつー』
このタイミングで話しかけてくるか、と言う気持ちと単純に話しかけられて嬉しい気持ちが交差する。
「なに?」
『あくつって、好きな人いる?』
全く予想が付かなかったが、まさかこんなことを聞かれるなんて。
「…なんで?」
『やー、さっきね、蓮に告られてさ。んで、気になったんだよね』
「気になった?」
なにそれ、期待しろって言ってるようなもんだよ?
『うんー、ほら、あくつ初恋とかまだそうだし』
ケラケラ笑う名前。複雑な僕。
(僕だって恋くらいしてるよ)
(そう君に言ったら、君は僕の気持ちに気付いてくれるだろうか)
END
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