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「名前、ココア入れるけど飲む?」
『うん、飲むー。』
あ、うちのとおんなじメーカーだ。なんてたわいもない話をしているうちに、完成する涼くん特製ココア。
「はい、できたよ。熱いから気をつけてね」
『ありがとう』
受け取ったココアを飲むと、同じメーカーの粉で作ったとは思えないくらい美味しかった。
優しい甘さが口の中で広がって、じんわりと体を流れていく。はっきり言って私が作るのと比べ物にならない。
『美味しい…私が作るのより何倍も美味しい』
「何でか教えてあげようか?」
『うん…?』
「それは…」
涼の顔がゆっくりと近づいて来て、私の耳元でぴたっと止まる。
「愛がたっぷり入ってるから、かな」
いつもより低い声で、甘く囁くもんだから、私の心臓は限界点を裕に超えていた。
本当はコンデンスミルクが入ってるんだよ、っていたずらっぽく笑いながら言う涼に
(罠を仕掛けられた気分になって)
(何だか無性に愛しくなった)
END
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