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「名前。」
涼があの声を出すときは甘えたいサイン。低くて甘くて心地よく響く、あの声。
『どしたの?』
「名前、大好き、愛してる、離したくない
僕のお姫様、どうか離れていかないで…」
わざと気づいてないふりをすれば、甘い言葉を囁きながら抱きしめてくれる。
時々こうして、甘えてくる。とても不安そうな顔で、縋るように。
『涼、愛してる』
そう言えば、呪縛に解き放たれたように顔の緊張が緩んだ。
抱き締めていた体を離し、私の肩を持ち、優しく、壊れ物を扱うように、そっとキスをする。
ゆっくりと離れていって、確認するように見つめ合う。そこで伝えるんだ。私は、絶対に涼から離れて行かないよ、って。
「名前、名前、好きだよ」
確かめるように私の名前を呼んで、きつく抱き締めながら愛を囁く。
それに応えて私も、精一杯の力で、抱き締め返すんだ。
(くらくらするような甘い言葉も、)
(全て含めて君が好きなんだ)
END
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