,





あの日以来、私たちは前のような関係に戻った。ギクシャクもしていない。

でも、一つだけ違うことがある。
私の気持ちだ。
もう迷いはない、蓮の隣に居たい。

蓮の隣は本当に心地よくて、私にとって、蓮の隣は特別な場所。



私は蓮が好きだ。



『(ただ、言う勇気がない…)』



『ん〜〜〜〜。』


席に座り、いすを傾けて仰け反って居ると、正光が視界に急に入ってきた。


「何唸ってんだよ」

『うをっ、びっくりした、正光か』



「んだよ、俺じゃ不満だってのかこのやろー」



拗ねたような言い方でぶつぶつと文句を言う。



『あーもーうるさいなあ、はいはい正光くんでうれしゅーございますー』


「…へへっ」


『へへじゃねえよなんだへへって』



正光と名前が馬鹿みたいな会話をしていると、蓮が教室に入ってきた。



「お、蓮きたぞ。俺は退散するかなー」


正光が蓮に聞こえないくらいの大きさで言うと、ひょこひょこ歩いてどこかへ行ってしまった。



『どこ行ってたの?』


「んー、ちょっと隣のクラスのやつにねー、用事。」



『ふーん』


「聞いといて興味ないのかよっ!」

『なははっ!』


「………」


急に蓮が俯き黙ってしまって、なんだろうと思い覗き込むように見ると、もどかしそうな恥ずかしそうな顔で目をじっと見てきた。

『な、なに…?』

「お、俺…っ、えっとー、そのー、」

もしやこれは…。
確信に変わったのは蓮の顔が赤いこと。ただそれだけの事だけど、動き出した私の腕は止まらない。

蓮の手を自分の両手で思いっきり包み込んでぎゅっと握りしめ、目をしっかりと見て。

『好きですっ、!』

言うんだ。

簡単なことだった。

(一歩踏み出す勇気)

(くれたのは君の赤い顔)

END


- 13 -


[*前] | [次#]
ページ:










「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -