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十日も過ぎると家に帰りたくなってくる。
誰かといるときは、むしろ帰りたくないと思うのだけど、一人になると家族のことや友達のことが気になってくる。

まさか、東京が懐かしいと思う日が来るなんて思わなかった。

「美緒は今日の花火見に行かへんのか?」

朝、おじいちゃんに尋ねられて、私はきょとんと目を瞬かせた。

「あぁ、今日がお祭りなんだ」

毎年この時期、町のほうで夏祭りがある。
その最終日に、わりと大きな花火大会があるのだが、ここに住んでいたときはいつも見に行っていた。

「じゃあ、町行きながら見て来ようかな」

一度くらい町の様子も見に行きたいと思っていたので、私はお昼から出かけることにした。

夕方まで勉強して、日が傾いた頃に家を出た。
町までバスに乗って一時間。
懐かしい景色を眺めているうちに町に着き、花火が始まるまでぶらぶらとお店を見たりして歩いた。

花火が始まる前に、祭りが行われる川のほうへ向かう。
到着した頃にはすでに屋台が賑わい、沢山の人でひしめきあっていた。

祭りなんて一人で来るもんじゃないな、と思いながら楽しそうにしている人々の間を進む。
でも、せっかくだからおじいちゃんとおばあちゃんに何か買っていってあげよう。

そう思い、焼きそばとたこ焼きを買って花火を見に土手のほうへ向かおうとした。
そのとき。
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