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「……よぉ」
先に口を開いたのは、勇介のほうだった。
「……久しぶり」
なんといっていいかわからず、私もただそう答える。
「何してるん、こんなとこで」
私を見て、一瞬驚いたような顔をしたものの、勇介は以前と変わらぬ調子で尋ねてきた。
「おばあちゃんに頼まれて、スイカ持ってきた」
「……じゃなくて。ばあちゃんとこ遊びに来たん?」
「まぁ、そんな感じ」
呆れたような顔をしながら、勇介はふぅんと呟く。
私は日傘の下からこっそり彼の顔を見ながら、男の子って変わるもんだなと思った。
身長とか、髪型とか、顔つきもそうだけど、やっぱり中学のときとは違う。大人っぽくなっている。
会いたいとは思っていたけど、なんでだろう。
私の記憶の中の勇介はあの頃のままで、変わっているなんて考えもしなかった。
「おまえ、いつからおるんや」
勇介がもう一度口を開き、私ははっと我に返る。
「昨日。来たばっかり」
「で、いつ帰るん」
「来週。二週間くらいいる予定」
そうか、と勇介は暑そうに前髪を払い、空を見上げた。
「……ほんなら、またな」
「うん、じゃあ」
それが合図となって、私と勇介は別れて歩き出す。
後ろに去っていく勇介の足音を聞きながら、私は傘の柄を持った右手の手首をぎゅっと掴んだ。
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