兄馬鹿生徒会長、登場









---薔薇色の四日目---






「おはよーう!」


いつも通りの元気のいい挨拶。

それ、なのに、

皆から返って来たのは私の望んでいた声じゃなくって。


「ど……どうしたの!?」

「頭に凄い包帯まいてるけど…!?」


心配症なのは、両親だけじゃあなかったみたい。

そう溜息混じりに心の中で呟くと、

風花はそんな内心とは裏腹に、

これまた元気よく皆に声をかけた。


「いや〜昨日ちょっと怪我しちゃって…

 でも全然大した事じゃないんだよねー!

 包帯してるから大袈裟に見えるだけで」


そう言ってパチンとウインクをすると、

周りに居た男の子達は皆顔を赤くさせ、

女の子達はホッと胸を撫で下ろした。






♪ ピンポンパンポーン…


やっと教室には

いつも通りのあの和やかな雰囲気が戻って来たと。

そう思った瞬間に、鳴りだした放送音。

それがまた風花の好きな和やかな雰囲気をぶち壊し、

風花が浮かべていた笑顔も

姿を消す原因となった。


『あーテステス……

 これより俺が呼んだ生徒は、

 すぐに生徒会長室まで来る様に。

 えーっと確か……高等部所属の、風花って奴。

 あ、言っとくけどももし来なかった場合は……

 ……俺からのきついお仕置きが待ってると思えよ』


「お仕置き」という言葉に

黄色い声をもらす女の子達を尻目に、

風花のテンションは一気に急降下していった。


「…あーえっと……

 ……とりあえず生徒会長室まで行ってくるね」


ドキドキと。いつもより早い鼓動を刻む心臓。

昨日の出来事もあったせいで、

生徒会長室という言葉に少し敏感になっているのかもしれない。


(…だ、大丈夫大丈夫……

何食わぬ顔していけば、絶対ばれないよ)


そう心の中で呟くと、

皆からの鋭い視線を感じながら

ゆっくりと廊下へと足を踏み出した。










「―――お、お久しぶりです。生徒会長…。

 今日は何の用事でわざわざ私を呼んだんですか?」


始めてみる生徒会長室は思っていたよりも

広くて綺麗て豪華で。

そんな部屋に堂々と腰掛ける生徒会長は、

おととい保険室で見た生徒会長とは

全く別人に見えた。


「久しぶりだな、風花。

 今日お前を呼んだのは他でもない……。

 ……お前に、問いただす為だ」

「………!!!」

「……心辺りはあるだろ?」


生徒会長が座っていた椅子からゆっくりと立ち上がる。

視線は風花に定めたまま、

ゆっくりと、ゆっくりと、風花へと近づいていく。


「お前……」

「はっはい………」


もう、ばれているんだ。

ルークという少年に交渉を持ちかけられた事も、

今から自分が三日以内に行わなければいけない事も。

全部、全部、全部全部全部……。


「……お前がこの学校に転校してきた初日に、」

「は、はい!」

「ルカに……」

「………え?」






「ルカにスリーサイズを聞くとは

 一体どういう了見だぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!」






「……え、

 えぇぇぇぇぇぇぇええええ!?」


まさかの展開に頭がついていかないまま、

生徒会長は更に風花に詰め寄った。


「分かってんのかぁ!?

 あのルカにお前は一体何を聞いたのかを!!

 えぇ!?」

「え、えっとその時はですね、

 風紀委員長に

 『今なら私に、何か分からない事があったら質問していいよ』

 って言われたもので……」

「だからってスリーサイズを聞く馬鹿が

 どこに居るぅぅぅぅうううっ!!!」

「ひっひいい!!

 ごめんなさい!!」


……そんなやりとりが十回ほど続いただろうか。


「…ルイ生徒会長。

 いい加減それ位にしておいてあげてください」

「!!」


鶴の一声が、

生徒会長室には響いた。










 ▼後書きのコーナー

 まさかのこのおちである。(どーん)

 流石ルイクオリティー。
 読んでくださっている皆さんの期待を裏切るルイが、
 私は凄く好きです!笑

 という事で何故かシリアス→ギャグへと
 路線が変更してしまいました!
 どうした私…←

 そして何故四日目のタイトルが
 『「薔薇」色の四日目』なのか。
 それはですね……

 この後風花の大好きなルカ(風紀委員長)
 との絡みが
 かなりあるからなんですよ!←
 
 こんな朝っぱからルイに怒られてる風花ですけども、
 でもルカと一杯喋れたなら
 風花にとってはきっとその日は薔薇色の日に
 なるだろうと思いまして……。

 …分かりにくいですよね、すいません←





- 9 -
[*前] | [次#]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -