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(1)

めったに入れ替わらない過去の拍手ログ。あと小ネタ
(拍手は名前変換を追加してのお届け)


10. 拍手log["丈さん"と呼びたい編]

「た、丈兄…じゃなくて。丈、さん…?やっぱり何か変…」
「よっす、琥珀ちゃん!ブツブツ言っちゃって、どうしたの?」
「あっ、倉元さん。実は…丈兄の呼び方、変えようかなって悩んでて…」
「あれ、変えちゃうの?ふーん…タケさんに何か言われたとか?」
「そうじゃなくて、その…そろそろお兄ちゃんっていうの、やめようかなって…思って」
「おー、なるほどね。…じゃあ早速タメで呼んじゃう?」
「えっ!まだ心の準備が…っ」
「こーゆーのは慣れだって。何なら俺の名前で練習してみよっか」
「あ…え、えっと…。く…倉元…──っやだ、変じゃないですか…?」
「……いや、バッチリです。(なんか背徳感あるなぁ)」
「ドキドキしちゃう…」
「うんうん。じゃ本番いってみよー。はいっ、どーぞ」
「た、たけ…た──っ、いやっ、だめっ…言えないっ…!」
「………お前たちは何をしているんだ」
「きゃーーー!?丈兄ごめんなさいっ!!」
「うわあっタケさんスンマセン!!」
「…。」


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9. 小ネタ[O-SEN-BEI.]

丈が煎餅を食べる様子を琥珀が、じっ…と見ている。
オフィスの隅のスペースにある二人掛けの椅子に並んで、ほんの少し近い距離で。
「どっちが美味しかった?」
ぼりぼりと煎餅を噛みながら丈は袋の片方を手に取った。
琥珀は、良かったと嬉しそうに笑う。
丈が局にいると聞いて差し入れを持って来たのだ。
特に煎餅にこだわりはないが、これはなかなか美味かったと丈がまた口を開ける──と。
なぜか琥珀もいそいそと、煎餅を割って自分の口に…
「腹を壊すぞ」
「でも、味見しておいた方が次に買うとき参考になるし」
「…。」
「ひと口だけだもん──…あっ…!」
丈は琥珀の手からかけらを取上げると、ひょいと口に入れた。
「私のお煎餅っ…!」
噛み砕かれる煎餅に気を取られる琥珀の手から、ついでに袋も取り上げる。
返してと迫る琥珀から、丈は体を反らした。
そして。たった今オフィスに戻ってきた郡は、お菓子を取り合う男女を目撃した。…何やってるんだこの二人。
「…何してるんです、二人共」
「──郡、やる」
「は?これ、お煎餅…ですか?」
「皆で分けてくれ」
「テーブルのが差し入れですっ、それは私のですっ!」
「ありがとう…。けど琥珀、食べられないだろう。これ」
「…!!」
郡に反論できず狼狽える琥珀の瞳が丈に戻る。
しかし丈の視線は、ほら見ろと言った。
「…た、た──っ…丈兄なんてっ、お、お煎餅食べてむせちゃえっ…!」
慣れない捨てゼリフをやや噛みながら、琥珀は立ちあがるとオフィスから出ていった。
「具体的な悪口ですね…。呪いっていうか、何ていうか」
「…。茶が欲しいな。郡、お前のも淹れるか?」
「あ、私が淹れてきますよ」

(そのあと"ごほぉッ!!!"ってなる○秒前)


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8. 小ネタ[冬の寄り道]

喰種捜査とは。
喰種との直接的な戦いはもちろんだが、そこに至るまでの捜査があって喰種にたどり着く。
…平たく言うと戦う以外にも体力や根気が必要なのだ。
ぐぅぅぅ〜… 
「丈兄は、肉まんとホットコーヒー…えっと、こっちのミルクとお砂糖入れてもらった方で…」
その日の午後半日を使った聴き込み捜査は空振りに終わった。
木枯らしの夕暮れ、とぼとぼと局へ戻る途中で丈の腹がぐぅと鳴り、琥珀が喉渇いちゃったと、ぽつり呟く。
しょぼんとした顔をふと上げると、街中で石を投げれば当たるほどの店舗数を誇る…コンビニが。
二人は吸い寄せられた。
店内のカフェスペースで、二人並んで外を見ながらコーヒー休憩にほっと一息。
「今日はずっと歩いてたね」
「こういう日もある」
琥珀は紙のコーヒーカップを両手で包み、指先をじわりと暖めた。
「有馬さんも会議、終わったかな?」
丈もまずはコーヒーをひと口。
砂糖とミルクの溶けた控え目な甘さが喉から胃を潤す。
次いで肉まんの包装を剥がした。
コンビニの肉まんというと学生以来だろうかと考えつつ、白くて柔らかいそれにかぶり付こうと口を開けた。
「………」
何かに似ている。
動きを止めた丈の隣では、「あったかいねー」と暖まった指先で今度は頬を暖める琥珀。
暖を堪能しているのか、ほわんと目を閉じている。
白くて柔らかそうな頬が指の間から見えた。
「………。」
ほかほかと湯気をたてる肉まんをひと口かじると、椎茸と筍の旨味、肉汁とが染みだした。
「平子上等、おいしいですか?」
丈はもくもくと咀嚼をして、ごくんと飲み込んだ。
言葉で答える代わりに、にこにこと窺う琥珀のほっぺたを、指で、ぷに、とひと突き。
「んっ?え?なんで???」

(………似てた)


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7. 小ネタ[記録用カメラ/case.2]

──規模の大きな作戦などの記録用として使用される。
前線に配置される者で、ある程度の任務経験者に任される事が多い──

『…しっかり被ったか?』
『ん……うん…、でもちょっと…ぶかぶか。ちゃんと締まってる?』
『待て………』
『ふっ、…ぅん…くすぐったいっ…、も、もういいよ…』
「…見せつけられるこっちこそもういらねェわ」
『ぇ?あっすみません丸手さん、何か言いましたか?』
「何でもねェよ」
今回の作戦の琥珀の役割りは、ある喰種の追跡、そして可能ならば駆逐だった。
『…琥珀、足止めでも構わない。すぐに追い付く』
『はい』
ヘルメットのサイズが合わないのか、ぐらりとモニター画像が揺れ、丈の胸元を映した。
離れると、一回二回と屈伸運動で画面が上下し、夜空を見た。
そこからはスパイダーマンか立体機動か。
ビルの壁面すれすれを、恐らく赫子を使って縦移動。
フワっ──と刹那の浮遊感。視界が開けた瞬間に屋上の手摺を掴んで強制停止、靴底で蹴って隣のビルへ。
敵の位置は掴んでいるのか最短距離を迷わず突っ切る。
高低差によっては一棟を優雅に跳び越して、給水塔の、そして配管の隙間を小柄な体ですり抜けた。
緩急の激しさに眩暈を起こした丸手が画面から目を離そうとしたその時、
『見えました──…っ』
琥珀の声で視線を外す機会を逃した。
まさか隣の建物から捜査官が来るとは思わず油断していたターゲットへ、斜め上空からの急襲。
琥珀のスピードの乗った跳び蹴りが振り向いた喰種の首を歪めた。
靴底をザザザッと滑らせて着地し、その急制動でついにぶかぶかのヘルメットが飛んだ。
しかしその時、丸手も画面を見るのを止めていた。
『あっ!ヘルメットっ…!映ってますか…!?やだごめんなさいっ、壊しちゃったどうしようっ──』
「……落ち着け、君塚…。カメラは無事だ……。喰種も………バッチリだ……。だがな──」
目の奥を押し込まれるような痛みと吐き気に襲われている最中の丸手は、オエェェエ!と盛大にえずいた。
「君塚…っ、お前はもう……、ぅぇっ、カメラ付けんな…」
『わーん、ごめんなさいーーー!』
目茶苦茶酔った。

(琥珀カメラ)


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6. 小ネタ[記録用カメラ/case.1]

──規模の大きな作戦などの記録用として使用される。
前線に配置される者で、ある程度の任務経験者に任される事が多い──

「カメラの担当は…確か平子か?」
「そうそう。ヒラが担当だとしっかり撮ってくれるから有り難いよ。…まあ今回は他にも色々映ってたけど」
色々、という篠原の言葉が引っ掛かったが、丸手は特に聞き返さずに映像記録の画面に集中した。
早送りなどしつつ十数分後、終わりに近付いたあたりで、それまで安定していた画像が不自然に揺れた。
画面の端に血と埃で煤けた小柄な捜査官が通り掛かる。
『──琥珀、その怪我はどうした』
『あっ平子一等、お疲れさまですっ』
こちら──丈を見た琥珀の表情がぱっと明るくなる。
ぱたぱたと小走りで、琥珀がすぐ傍に来たところで画面外からの丈の手が映り込む。
確かに琥珀の額やら頬やらには血の擦れた跡がある。
『さっき天井を崩されて、巻き込まれちゃった』
ふっくらとした頬に丈の手が添えられると、琥珀はこちらを見上げた。
『でももう、全部治ってるから平気』
心地好い手に擦り寄って目を細めた。しかし、
『あっ…丈兄こそ、怪我してる』
『…?』
カメラが見下ろす中、ちょっと待ってね、と琥珀はポケットから大きめの絆創膏を取り出した。
背伸びをして顔を近づけ、場所を確認しながらぺたりと……頬の辺りだろうか。
『ふふ、応急処置。あとで消毒してもらってね』
『…ああ』
丈の胸に手をかけたまま、寄りかかった状態でこちらを見上げる琥珀は『上手に貼れた』とにこにこ笑う。
『じゃあ、またあとでね』
────。
「なんだこりゃ」
「いやぁ若いっていいねぇ」
「…消すぞ」
「おっと、記録用だし手を入れちゃ駄目だろ」
「じゃあ平子の給料下げろ」
「まぁまぁまぁ」
「職場でイチャイチャしてんじゃねぇ!」

(平子カメラ)


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5. 小ネタ[丈さん自宅にて]

柄にもなく丈は焦った。
玄関を開けた瞬間に聞こえてきた声に。
ただいま、と声をかければ決まって、おかえりなさいっと必ず返ってくる琥珀の声が──泣いている。
「も……ゃ…だぁ……いっ…っ、ふぇ………い、たぃっ──」
怪我をしたのか?喰種の琥珀が?怪我ならすぐに治るはず…いや、治れば良いというものではない。
泣くほどの痛みとは?思えば昔から琥珀が怪我や病気などで泣いたことなど一度も無かったのに、こんな──
「いつも…っ……こんなじゃ、ないのに……っ、なんで」
何があった──、
靴を脱ぐのももどかしい。
丈は静かに慌てた。
揃えてあった琥珀の靴を蹴飛ばして、躓きかけて壁にドンッと手を着きながら、足を踏み出してキッチンへ。
丈が立てた派手な音を聞いたせいだろう、
包丁を手に、
驚いた顔をして、
ぽろぽろと涙を涙を零す琥珀が。
真っ赤な目をして丈を見た。
──玉ねぎをみじん切りにする手を止めて。
「ぁ、…ぐすっ……お、おかえりなさ、……ぃっ」
いたいよぅ、と顔をくしゃりと歪ませて、もう限界…!と包丁を置いた。
「た、丈兄も…っ、こっち来ちゃ、だめっ…!痛くなっちゃうからっ──!」
無言のまま微動だにしない丈の胸を琥珀が押す。
しかし後ろには散らかった玄関が………ふとよぎった丈は琥珀の頭を抱え込んだ。
「わ、ふっ…!スーツ…っ、汚れちゃう、よ……っ!」
「………」
早とちりを知られるくらいならスーツのひとつが何だと思った。
ついでに、ぐずぐずになった顔も拭いてしまえと。
腕の中でもごもごと騒ぐ琥珀をぎゅうと締め付けて、丈はまな板を見た。
すると丈の目にもツンと滲みる強烈な痛みが──
「………っ。滲みる…」
「だから来ちゃだめって言ったのにーーー!」
淡々としながら目に涙を溜めはじめた丈は、ぼろぼろと泣きながら怒る琥珀によってキッチンから追い出された。

(彼女を泣かせるすべてが憎らしい)


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4. 拍手log[丈兄とHalloween編]

「丈兄、ハロウィンの季節だねっ」
「……そうなのか」
「そうなのっ。
お菓子をくれなきゃイタズラするぞっ!って」
「………」
「ほら、仮装をした子供が大人にお菓子をおねだりする」
「…南瓜のあれか」
「そうそう南瓜の。今は大人も仮装したりしてね…あっ、
ポスター貼ってある」
「………」
「13区のイベントみたい。什造君のところだね。
ふふ、楽しそう」
「…去年、琥珀は魔女の格好をしていたが」
「あ、あれは不可抗力で…」
「今年はナースの仮装はし──」
「っません!
絶対しないし、あの服はしょっ、処分しましたっ!」
「…琥珀…」
「……な、なに…?」
「…ロッカーに常備されているあの服はどちらの趣味か、
この間、アキラに訊ねられたんだが…」
「!!(だって丸手さんに買わせちゃったものだから
悪いかなって捨てられないんだもん…!)」


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3. 小ネタ[S3会議室にて]

テーブルの上から見下ろす有馬。
テーブルの下から見上げる琥珀。
見詰め合う二人の距離はテーブルの高さの分だけ──…
「あの、有馬さん。…遠いです」
「琥珀も乗ったら解決するよ」
琥珀は資料を渡しに来ただけなのだが。
有馬は琥珀を見て、今日は局から一歩も出ていないなと呟くと、手合わせしようかと、ひらり、テーブルに飛び乗った。
その軽やかな動きに琥珀は感心してしまった。
しかし惑わされてはいけない。
資料だって渡しにくい。
「あの、有馬さん」
「うん、何?」
「上司の方にこんなことを言うのもあれですが…その…」
困って言いあぐねるように、琥珀は指を唇に当てる。
有馬も返答を促すように、首を傾げて言葉を待った。
「わ…私っ、やっぱり靴のままではテーブルには上がれません…!」
唇に当てた指をきゅっと握ってキリッと上を向いて、有馬に「土足は良くないですよ」と真剣に伝えた。
「…。そうかな」
「そうです」
すとんと有馬がテーブルから降りて、二人はいつもの距離に戻る。
ほっとした琥珀は腕に通した紙袋の存在を思い出す。
「実はさっき外に出たついでに、どら焼きを買ってきたんですけど…」
テーブルを拭いたら休憩しませんか?と提案する琥珀に、有馬は、いいね、と賛成した。

(おじいちゃんっ子なので)


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2. 小ネタ[平子家にて]

流しっぱなしのシャワーの音が途切れてお風呂場のドアが、ガチャッと開く音。
きっと今は脱衣室。
「じっとしていろ」とか「まだ終わっていない」とか声がする。
タオルでぎゅっと包まれて、顔と、お腹と、足と。
しっぽも大切。
「まて。………違う。まて、だ」
"おすわり"は覚えたけど、"まて"はできたかなぁ。
お風呂の嫌いなあの子も必死。
かりかりと引っ掻く音がして脱衣室のドアが開いた。
廊下に飛び出る軽やかな四つ足の爪音と、それに付いてくる足音。
全身の毛を逆立てて、そこからの抜け毛も一緒にまとった平子家の柴犬と。
宙に舞う抜け毛にまとわり付かれて、ちょっと疲れた顔の丈兄がやってきた。
「お疲れさまでした」
たたみ終わって傍らに置いてある洗濯物の山にまで、ふわりふわりと毛が飛んでくる。
「毛だらけだ」
ズボンの裾とシャツの袖を捲って挑んだけれど。
結果は惨敗。
「シャツ脱いでね。また洗濯機回すから」
油断した隙に、ぶるぶると水を飛ばされてしまったみたい。
「…見てろ。次はもっと上手くやる」
丈兄の足元へ戻ってきた、お風呂上がりでテンションの高い小さな彼と。
不本意そうな、それでいて静かに闘志を燃やす丈兄の横顔が微笑ましかった。

(犬にシャンプーをする)


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1. 拍手log[丈さんと転ぶ琥珀ちゃん編]

「丈兄、どこからともなく拍手の音が」
「……?俺には何も聞こえないが」
「えっと〜、何ブロック先かな…?」
「琥珀、きょろきょろしていると転ぶぞ」
「そんなベタな〜… きゃー!?」
「………」
「そんなに呆れなくても…」
「…言ったそばから本当に転ぶやつがあるか」
「ちょっと躓いただけっ。…あと、腕、掴まなくても…もう転ばないからっ」
「駄目だ」
「(…それなら手つないでほしいなぁ)」


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