lilim.
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最初はほんの戯れだ。
いつものが来ちゃったからできないの…と。
琥珀が頬を撫でる丈の手にキスをして、丈は｢そうか｣と唇をなぞった。
そのまましばらく、互いにゆるりゆるりと触れていた。
労るように丈が優しく触るものだから、くすぐったがった琥珀は丈にくっついて邪魔をした。
布団の中で身を寄せられた丈は、今度は琥珀の額や頭に、更にたくさん口づけを降らせた。
身体を密着させるなら、更に近づいてやれば良いと。
構う手はいくらでもある。
鼻先をあわせ。
頬を寄せて。
これじゃいつもと同じになっちゃうと、困った顔をしてみせる琥珀の唇をぺろりと舐めた。
けれども。
琥珀も丈を求めて応えた。
パジャマの下を脱がせて剥き出しになった琥珀の太腿。
それを自らの腰に絡ませて、琥珀の其処へ身体を押しつける。生理用品がカサリと音を立てた。
下着越しでも感じてしまうようで、身体はぴくんと反応する。
見て取った丈はそのままゆっくり押しつけて動かした。
｢あっ………や…、｣
善い場所に当たったらしく琥珀は身を退こうとしたが、丈は腰を掴まえて、また擦った。
丈の下腹部も熱を持ちはじめる。
｢や、…っ……そこ……｣
｢…どうした──？｣
｢んっ……｣
恥ずかしそうに眉根を寄せた琥珀は、丈をちらと見ると、答える代わりにキスをした。
ひくりと腰が揺れる間に、触れるばかりに何度も優しく唇をあわせて、蕩けるように微笑んだ。
｢…きもちいい…｣と。
琥珀の太腿から尻を丈がゆっくりと撫で、互いに戯れのキスを愉しむうちに、琥珀の手もまた、ゆるゆると丈に触れていた。
胸元から下りて丈の服の裾を捲ると、素肌に指を当てる。
スウェットの腰紐に、当たって止まる。
｢た…、丈兄………あの、ね、……？｣
指先が短く行き来をし──小指だろうか、触れるか触れないかの弱々しい感覚が、布越しだが丈の勃ちあがりつつある先端に、つんと当たった。
どう、触ったらいい…？と。
恥ずかしそうに丈に訊ねた。
先を聞かなくても、意味はひとつだ。
恥じらいに彷徨う琥珀の瞳も、真っ赤に染まった顔も可愛らしく、丈の理性をぐらりと揺らした。
月のもののせいで挿れられないことを気にしているのだろうか。
丈も琥珀に無理強いはさせたくはない。
しかし愛しい女のその指が、自身の其れに、直に触れることを考えると下腹が疼いてしまうのは男の性だろう。
｢………｣
丈が葛藤している間にも、琥珀は自分の口にした言葉に迷っている。
縮こまった琥珀は、すんと鼻を鳴らして、ついには枕に頭を押し付けてしまった。
丈は発熱する琥珀の頭に身体を近づけて、｢いいのか？｣と訊ねた。
頭が縦に動く。
密着した身体を少しだけ離して、丈は琥珀の手を取った。
お互いの指は汗ばんでいる。どちらの鼓動も、きっと同じように速いのだろう。
下着の縁を強く押し上げる竿に琥珀の指先が触れる。
｢……っ…｣
どちらともの心臓が跳ねる。
丈は、華奢な指先を其れへ導く興奮に。
琥珀は、はじめて触れる丈自身の感触に。
下着の中へと滑り込んで熱い其れを擦れば、触れ合う二人の吐息が重なる。
呼吸の僅かな振動でも指先は揺れて、互いへの甘くて熱い刺激となる。
｢…丈兄……へい、き…？｣
｢……照れるな……、これは…｣
丈が琥珀の手を引いて、二人の手が昂る竿のかたちを探り、なぞるように撫でる。
｢た、丈兄が…私を…触ったときも……、恥ずかしかったんだから……。おあいこ｣
丈の胸に額をつけた琥珀が照れながら言う。
髪の間から見え隠れする染まった耳も愛しく、丈は身体を少し起こして甘く噛んだ。
ひゃんっ、と啼く。
身を捩って逃げようとする琥珀に迫り、やわやわと竿を握らせる。
琥珀の手の中で更に膨張するのを感じた。
｢あっ…ぅ──…、熱いし……弾力が……、その……、｣
｢お前がそうさせている……｣
もう喋るな、と琥珀の頭に口づけを落とすと、丈は琥珀の手を包んでゆっくりと動かした。
ぴくんと藻掻く指先を絡めて、硬く勃ち上がった竿に添わせて上下に扱く。
何度も往復をして、鈴口から、とろりと流れ出す感覚がした。
丈は手を下げようとする。
しかし反対に琥珀は手をずらして先端を探り、指の腹でくるりと撫でた。
溢れ出た先奔りで指はぬめって、善く滑る。
丈の竿がつきりと疼いた。
｢…っ、｣
｢ぁ……ごめんね……っ、痛かった……？｣
｢いや──…、続けてくれ……｣
｢ん…｣
琥珀の指の心地のよさに丈は目を伏せる。
おそるおそる、ゆるり、ぬるりと愛撫する感覚に、深く浅く、呼吸が乱れる。
反り返った怒張を鎮めるようでいて、誘惑するように撫で上げる指遣いは、優しく、また焦れったい。
ごくりと求める丈の首筋を、琥珀はあやすようにちろりと舐めて唇をつける。
丈は、上向いた琥珀の唇が欲しくて食らいついた。
驚いた琥珀の指に竿を、きゅう、と握られて、丈は遂にその身体を組み敷いた。
琥珀が慌てて、｢待ってっ…｣と胸を押す。
｢琥珀──｣
｢…あの…待っ…… ｣
｢挿れはしない…、だが──｣
｢あっ、…ん、………でも、その……｣
｢……どうした｣
｢よ、横を向いたままでも……いい…？｣
｢？｣
なぜ横をと訝しむ丈に、蚊の鳴くような小さな声で琥珀が言う。血が出ちゃうの…、と。
脚の間を気にするような仕種をする。
男にはわからない感覚だが、仰向けでは困るというのなら、それ以外の態勢でも異論はない。…この続きを琥珀が受け入れてくれるのであれば。
丈は｢下でなければ平気か？｣と訊ねる。
きょとんと瞳を瞬かせた琥珀は、一瞬首を傾げると、｢へ、平気…だと思う…｣と答えた。
丈はゆっくりと琥珀を抱き締めると、自分の上に乗せるように身体を反転させた。
驚いてしがみつく琥珀が深く考えないうちに。
下着越しだが、其れを受け入れる位置に乗っかった琥珀が、やっと気がついて唇を噛む。
｢もっ……こんなのっ………ずるい…｣
｢これなら平気だろう｣
｢へいき…だけどっ…｣
丈はそれ以上は答えずに琥珀を見上げる。
琥珀が嫌ならそれでも良いというように。
しかし腰が疼いて気持ちが昂っているのは琥珀も同様だ。丈にだって…気持ち良くなってほしい。
琥珀は身体を起こして唇をぺろりと湿らせると、はふ…と密やかに呼吸をした。
丈の下着を下ろしつつ、硬い勃ち上がった其れを手で包んで、脚の間におずおずと宛がう。
薄闇の中でも、ぼんやりと形が見えて頬が熱くなる。
｢…あんまり…見ちゃだめ………｣
｢…見ていたい｣
｢ん……もぅ…｣
本当のところ、丈は琥珀がそのままの状態でいてくれるだけで構わなかった。
口づけをして、また少しばかり愉しんで、今日は我慢するつもりだった。
しかし琥珀は律儀に応えようとしている。
したいと言い出したのは自分だから、とでも思っているのだろう。慣れない動きで手と腰を使って男根を擦る。
そんな様子が、丈にはまたいじらしく思えた。
くすぐったいような、善いような感覚。けれど、これ以上しては辛くなる。
琥珀が白い太腿をあらわに其処を押しつけ、腰を動かしているこの姿だけでも十分に刺激的だ。
本人は気づいていないが、抱き合って動いたせいでパジャマの合わせ目も肌蹴て、ゆるやかな谷間と白い腹が見える。
丈は琥珀を止めようとした。
あとは自分で……どうにかすると。
しかし言葉を聞いたはずの琥珀は何も答えない。
身を乗り出して丈の胸に軽く手を乗せると、唇を食むようにキスをした。
吐息も熱く舌を絡め、それから熱を帯びた瞳でとろりと微笑む。
｢…琥珀…？｣
｢──ちゅう。させてね…？｣
疑問符を浮かべる丈を余所に、琥珀は身体を下げると丈の竿に顔を寄せる。
制止するよりも早くキスをした。
丈の腰を中心に鋭く甘い痺れが奔り、身体がびくりと反応する。
舌の先で可愛らしくぺろぺろと舐めて、鈴口にちゅっと唇を寄せた。
遠慮がちに咥え込み、溢れる先走りも優しく吸う。
その琥珀の口内へ思わず突き上げたくなる衝動に駆られながらも、丈はどうにか自制した。
｢っ…琥珀っ──、もういい…｣
｢んっ…、…ちゅ………ん、ぅ……｣
ぷくりとした唇を寄せながら、不器用ながらも丁寧に竿を扱く。
吸っては口の中に招き入れ、先奔りの滲む先端を舌で転がして。指先で根元を撫でながら袋もやわやわと揉みほぐす。
｢…は……っ………ん、む………｣
一所懸命、と、奉仕する、という表現が同時にぴたり当てはまるほど、琥珀は丈の男根を甘やかした。
普段の行為でなら、琥珀の膣を激しく貫き挿しする其れが、じりじりと愛撫を繰り返されて昂められている。
琥珀の口内に押しつける訳にもいかず、丈は堪えきれない気持ちを逸らすように、琥珀の髪を掻き上げた。
潤んだ瞳が薄闇に瞬く。
男根を食む琥珀の眼差しは、熱に浮かされ、とろんと夢を見るように頼りない。
唾液と先奔りの混ざった糸を引く唇は、扇情的に濡れて光る。
｢ぁ……くっ…、｣
｢…ん、んっ……たけ、に……｣
すき。
びゅくッ──と。
溜まっていた愛欲が溢れた。
せめて琥珀の口には出すまいとして、丈は腰を退いたのだが、果たして良かったのかどうか。
何度かに分けて射精された白濁は、琥珀の頬と唇、そして乱れた胸元に、ぱたぱたと跳ねてこびりついた。
上気した顔で、ぼんやり白濁を見下ろす琥珀に居たたまれなくなり、身体を起こした丈は、ひとまず琥珀の頬から指で拭う。
丈は静かに…慌てた。
ここまでする(或いは、される)気は無かった。
反対に琥珀は大人しく、されるがままになっていた。
けれど丈の指が唇を拭うと、その手を止めた。
どうしたと視線で問う丈に瞳を合わせる。
ここにきて、やっと、事態を思い出して瞳が游ぐ。
丈の指に掬われた白く粘るそれを、迷いながら、ぺろりと舐めて、小さく訊ねた。
気持ちよかった…？と。
悪いわけが、ない。
｢(ああ…くそ──…)｣
咥えさせ、結局、(たぶん何滴か)飲み込むまでをさせてしまった自己嫌悪に苛まれながら。
｢(………興奮する…)｣
丈は琥珀に口づけた。
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